澁谷淑江さん(青森・弘前南高校2年)は、祖母を被写体にした写真作品「あの日」を紹介。文化部の全国大会にあたる「第46回全国高校総合文化祭(とうきょう総文2022)」の写真部門で、出品作品全307点から2作品のみに与えられる「最優秀賞・文化庁長官賞」に輝いた。作品にどんな思いを込めたか聞いた。(文・写真 中田宗孝)

祖母の姿を被写体に

「祖母を作品の被写体に」と決めて、澁谷さんはカメラを向けた。特に仕上がりの良かった4枚のモノクロ写真を組み合わせて出展した。「カラーよりモノクロ写真のほうが、雰囲気がでると思いました」と、作品づくりを振り返る。

青森県勢で「写真部門」初の受賞となる最優秀賞・文化庁長官賞に選ばれた「あの日」

「あの日」と題した作品は、祖母が女学生時代の写真を眺める様子、左手薬指にはめた指輪、仏壇に手を合わせる姿、そして遠くを見つめるような表情をとらえたそれぞれの写真から、物語性を強く感じる。「モデルとお喋りしながら写真を撮るのが楽しくて、普段から人物を中心に撮影しています。この作品も、学生のころの話などを祖母から聞きながら撮っていました」

光の撮り方にこだわり

写真部の先輩部員の撮影法や作品づくりを参考に、撮影技術を日々磨いている

撮影時には「光」に神経を使う。「あえて逆光で撮影したり、人物の顔や体に光が斜めに射し込むようにしたりと、光の撮り方にはこだわっているんです」

受賞作品の被写体になった澁谷さんの祖母は、孫の活躍をとても喜んでいるという。「受賞を周囲に伝えてまわっているみたいです(笑)」

受賞作の「仏間での祖母のカット」も、畳に光の線が反射して写り込むよう意識しながらローアングルからシャッターを切った。「ほかにも、窓際に立ってもらって目に光が入るようにしたり、祖母のはめる指輪が光ってみえるよう、自然光をあてて撮影しました」