UNICEF(ユニセフ・国連児童基金)は9月14日に発表した報告書で、世界中で女子は男子に比べて数学で遅れをとっていることを明らかにした。その原因は性差別とジェンダーに対する固定観念であるという。
ジェンダーに関する固定観念が強く影響
ユニセフは、100以上の国や地域を対象とした調査で、「男子が数学のスキルを身につける確率は、女子の最大1.3倍とわかった」と発表した。
格差の一因は「女の子は生まれつき数学を理解できない」という、教師や親が持つ否定的なジェンダー規範や固定観念であると指摘した。教師や親の認識が女子の自信を失わせるという。
貧困・コロナが格差を広げる
報告書によると、34の低・中所得国で小学4年生の4分の3が基礎的な計算能力を身につけていない。貧困や新型コロナウイルス感染症の影響も、教育格差の大きな原因となっている。
女子が男子よりも学校に通えない可能性が高い国々では、数学の習熟度の格差がさらに広がっている。
質の高い教育のための投資と努力を
ユニセフは、各国政府に対して「すべての子どもたちに質の高い教育を提供する努力と、教育への投資」を求めている。
ユニセフ事務局長のキャサリン・ラッセル氏は「私たちは、ジェンダーの固定観念や規範を払拭(ふっしょく)し、すべての子どもが生活に必要な基礎的スキルを学べるよう、努力する必要がある」というコメントを出した。