車の音や周りの人の話し声など、自分に関係ない音を気にすることは、普段ほとんどありませんよね? 実は、私は自分に関係ない音まで大きな音で聞こえてしまう「聴覚過敏」をもっています。苦痛を減らすために「ノイズキャンセリングイヤホン」を使ってみて、生活がどう変わったかお伝えします。 (高校生記者・もふたん=3年)

イヤホンを隠すためショートカット

聴覚過敏対策のために使っているノイズキャンセリングイヤホン。私が使っているものには音楽を聞く機能はなく、周囲から聞こえてくる雑音を消し、必要な音のみを聞こえやすくします。「イヤホンの形をした耳栓」のようなものです。

音量調整可能なイヤープラグ

聴覚過敏のことは、家族以外では学校の授業で関わる先生方、担任の先生、信頼できる一部の友達だけに伝えています。学校での使用許可は簡単に下りたものの、イヤホンの着け外しは家または他の生徒の見えないところで行うようにし、髪型は年中、耳が隠れるようなショートカットにしています。

聴覚過敏ということを知らない人が見ると「ノイズキャンセリングイヤホンを使っている=音楽を聞いている」、つまり校則違反をしていると感じてしまうと思うからです。

イヤホンを使用している様子。隠すことができるように髪を短くしている

話し声やエアコン音も苦痛に

私がもしこれを使わなければ、電車や工事の音だけでなく、遠くの話し声やエアコンの音など一般的には気にならないような音も大きな音で聞こえてしまい、疲れてしまいます。特に体調が悪い時、症状は普段と比べて強くなることが多くあります。

状況を知らない友達と休日に遊ぶ場合は、イヤホンを使わないこともあるのですが、音が気になってあまり楽しめないこともあります。

周りの話し声やBGMが大きく聞こえるカフェ、映画で流れている音が大きく聞こえ、あまり集中して見ることができない映画……。友達と一緒にいることは楽しいので、行きたい気持ちはあるのですが、あまり楽しくないような表情をしているように感じて、とても申し訳ない気持ちになります。

 症状の理解が広まるといいな

聴覚過敏についての理解が広まり、同じように感じている人も言い出しやすくなったら、過ごしやすくなると思うので、うれしいです。ですが、中には「規則正しい生活をしていればならないと思うけど」「みんな同じこと思ってるよ」というように、聴覚過敏は甘えだと捉えられることもあり、とても傷つきました。だから結局、一部の人にしか言うことができておらず、学校では聴覚過敏を隠しています。

 私はイヤホンを使うようになって、音での悩みが減りました。もし同じような症状で悩んでいる人は、着けるべきだと思います。ただ、聴覚過敏であることは見た目では分かりづらいので、本人が説明しても理解してもらえず、校則で着けられない人もいると思います。その場合は、信頼できる友達や家族に困っていることを相談し、一緒に伝えてもらうのもいいかもしれません。

使わない時は磁石でくっつけ付属のケースに保管できるため、紛失しにくい

周りのみなさんには、音で悩んでいる人がいるということを少しだけでも知ってもらえるとうれしいです。また、サポートを求められた時には可能な範囲で助けてもらえると助かります。私が伝えることですぐに多くの人に理解が広まるとは思っていませんが、少しでも理解が広まり、同じ症状で悩んでいる人が気軽に言い出しやすい環境になればいいなと思います。