将来やりたいことや職業を高校時代に見つけられず「とりあえず大学に行って見つけよう」という道を選ぶ人も多いだろう。そんな選択肢を選んだ後、「やりたいこと」は大学生活で見つけられるのだろうか。私の周りの大学生に体験談を聞いた。(りこぴん=大学1年)

学内のオリエンテーションがきっかけに

栄養系の学部に通うAさん(1年)。大学生活の中で、自分と向き合う時間を大切にしてきた。「お菓子を作るなど、自分の好きなことをして、いったん頭の中を無にしてから考えてみました」

クリスマスには毎年、ケーキを手作りする

「食品開発者になりたい」という夢を見つけたのは、学内で行われたオリエンテーションがきっかけだ。「先輩が企業とコラボして作ったお菓子を食べ、私も企業と一緒に商品を作って、お客さんに売ってみたいと思いました」

管理栄養士取得後の将来まで具体的に考えられるようになった。「大学でのちょっとした体験も自分の将来を考える良いきっかけになります」

大学の講義だけじゃ足りない

情報学を学ぶBさん(1年)は、3つのサークルを掛け持ちし、個別指導塾のアルバイトもこなしている。インターンにも積極的に参加。開発環境の整備やSlack Bot(仕事を自動に動かすためのプログラム)を作る体験をし、フレキシブルな働き方を学んだ。そのなかで「アプリケーションエンジニアになりたい」という夢を見つけた。「インターンを探している時に、治療用のアプリを開発している企業を見つけて興味を持ちました」

数学の授業後、友達と集まり勉強している様子

将来やりたいことは「大学で幅広く学び、多くの活動に積極的に参加して経験を積んでいけば、見つかる」。だが「大学でただ学んでいるだけでは、見つからないのではないか」とも感じている。

「自分が本当にやりたいことは、(大学の授業だけでなく)たくさんの経験から向き不向きを見極めることで見いだせると考えています。インターンは、大学3年生の姉やサークルの先輩から情報を得ました」

写真部に所属し、休日はカメラを持って出かけている

忙しい中でも工夫をしていくことで、やりたいことを見つけられている人もいるようだ。

とにかく動いて夢を見つけた

教育学部のCさん(2年)は、「子どもを支えることと、食に関することを両立できる仕事をしたい」という目標がある。Aさん、Bさん同様、大学進学後にやりたいことが見つかった一人だ。

やりたいことがない中、とにかく動いた。自分の学びたい授業を取り、近い興味を持つ学生が自分たちで運営する「自主ゼミ」に参加し、大学生が集い交流するコミュニティースペースに行った。「他の人のエネルギーであったり、行動力だったりに刺激を受け、自分にはなかった選択肢を見ることで、動き出すきっかけになりました」

コミュニティースペースでは、やりたいことがあるけどやり方が分からない人、やりたいことを見つけたい人、仲間が欲しい人などさまざまな大学生が集まっているそうだ。「運営の中に先輩がいたので誘ってもらいました。『大学生が挑戦を行うための場』で、何かを始めてみたいと思ったから」

コミュニティースペースでのワークショップ

大学の勉強や趣味の話、今気になっていることや挑戦していることなどさまざまな話をした。たくさんの人と関わりを持つことで「やりたいこと」を見つけられたのだ。

たくさんの選択肢から「選ぶ姿勢」が必要

理工学部のDさん(1年)は、まだやりたいことが見つかっていない。「春学期が終わってから将来について考えることがありますが、自分の将来像が全く見えない」という。

アルバイトをするか、しないか。どの講義を受けるか、受けないか。大学生になると、自分で決めなくてはいけないことが一気に増える。「大学生になると自然と選択をしなくてはならない場面が増えるけれど、結局それを自分が選ばなきゃ何も始まらないので……」

やりたいことを見つけたいという気持ちはあっても、主体的に選ぶ姿勢がないと簡単に見つけられるわけではなさそうだ。