8月8日、JICA 地球ひろばが主催するオンラインイベントに、「尾木ママ」こと尾木直樹さんが登壇した。新型コロナウイルスの流行やロシアによるウクライナ侵攻で世界が一変する中で「児童・生徒が自ら世界とつながるヒント」について語った。(加藤和花)

「生き延びる力」を伸ばすには

尾木さんは、経済協力開発機構(OECD)がこれからの時代を生きる子どもたちには、「生き延びる力」が必要だと提唱していると指摘。それは、「新しい価値を生み出す力」「自然環境や政治、経済といった問題に対して『調整』する力」「自分を客観的に見る力」で構成されているという。

オンラインイベントに登壇した尾木直樹さん

トップアスリートを例にすると、「試合後のインタビューで自分の失敗の原因をすぐに答えられる力」、中学生や高校生であれば「部活動やテストでの失敗にどう修正すればいいのか考える力」が必要になる。

この3つの要素を伸ばす例として、尾木さんはフィンランドの取り組みを挙げた。フィンランドでは保育園から大学院生まで「Miksi(=なぜ?)」を大切にしている。この教育により、クリティカルシンキング(批判的に考える力)や発想力、表現力も身に付くという。

積極的にSNSを活用し世界とつながろう

さらに、世界とつながるためにカギとなるのが「SNS」の活用だ。尾木さんは「若者がSNS活用する力は大人よりもたけている」という。

「その力を仲間内のつながりだけでなく、世界中の人とつながるために活用してほしい。例えばウクライナ情勢に関して、映像を見るだけでも得られるものは大きい。このようなことに学校から配布されたタブレットを活用してほしいし、得た情報をもとに友だちと議論できればもっと良い」

SNSは世界とつながるカギになる

SNSは、日本ではいじめのツールとして使われてしまうこともあり、不安を持つ人も少なくない。しかし、SNSによる国際交流が盛んなシンガポールでは、積極的にポジティブな活用をしていくことがネガティブな利用をかすませているそうだ。

ニュースを見て日本を世界と比べて

講演の後半には、白川悦子先生(熊本・武蔵中学校校長)、JICA国際協力中学生・高校生エッセイコンテスト2021高校生の部最優秀賞(JICA 理事長賞)の久保日向太さん(広島・加計高校 3 年)も加わり、「世界とつながる方法」について語り合った。

尾木さんと白川先生(右上)、久保さん(左下)ら

世界とつながるきっかけとして、国際ニュースを見て海外と日本の生活を比較することや、(法に反しない範囲で)ルールを破ってみることが挙げられていた。

今回のオンラインイベントは、JICA地球ひろばが今年度6回開催する開発教育オンラインセミナーのうちの一つ。今後の開催予定などは、公式サイトを参照。

久保さんが受賞したJICA 国際協力中学生・高校生エッセイコンテストの今年度の募集は、9月11日締め切り(当日消印有効)。詳細は公式サイトを参照。