総文祭に出品する6人。「他県の高校生との交流も楽しみにしている」と言う

大阪・港南造形高校の絵画部とクラフト部の生徒6人が、美術・工芸部門に作品を出品する。絵画部の3人は油絵、クラフト部の3人は木の机や文具、ステンドグラスのランプを提出し、滋賀県立近代美術館(大津市)などに展示される。
(文・写真 新海美保) 

実力を知る機会

一見、ただの工具箱に見える木の箱だが、中をあけて一つ一つの工具を手にとってみると、かんなは鉛筆削りに、彫刻刀は鉛筆に変身する――。使う人に驚きと小さな喜びを与える『木工文具』という作品を手がけたクラフト部の本山智美さん(3年)は「鉛筆の作り方をテレビで見たのがきっかけ」と楽しみながら制作した。

 学校近くの集合住宅と空を描写した絵画部の瀧口千波瑠さん(3年)は、人工的な建物と自然の美しさを対比させる表現に注力した。「総文祭では全国の同世代の作品を見ることができる。自分の実力を知る機会でもあり少し怖い」と話す。

 総文祭では作品の展示だけでなく、漫画『ROOKIES』などヒット作を手がけた漫画家・森田まさのり氏の講演会や、京都大学総合博物館の塩瀬隆之准教授によるレクチャーも行われる。出品した生徒たちが感じたことを語り合う鑑賞会や交流会など、生徒同士がつながる機会も用意されている。

 自画像を描いた絵画部の田中媛透美さん(3年)は「人脈を広げる絶好のチャンス。将来につながるような出会いを見つけ、ネットワークを広げたい」と意気込む。

『木工文具』 本山智美さん(3年)

 

『こうなんから』 瀧口千波瑠さん(3年)

 

『碌』 和田菜々さん(3年)

 

『海辺の倉庫』 谷口綾乃さん(3年)

 

『Triangle』 髙野千聖さん(2年)

 

『考える』 田中媛透美さん(3年)

 

 絵画部 
1981年創部。部員数は37人。油絵の具で制作する洋画と日本画に分かれて活動。春は三重県で合宿を行い、秋には文化祭で正門のアーチなどを制作。美術館の絵画鑑賞などに出掛けることもある。

 

 クラフト部 
1981年創部。部員数は40人。工芸作品のうち金属・木材・ガラスの工芸を中心に制作。みどりの募金の募金箱のデザイン制作や東日本大震災の被災地支援活動なども行う。