第46回全国高校総合文化祭（とうきょう総文2022）の軽音楽部門が8月2日から4日まで、中野サンプラザ（中野区）で開催された。沼津中央高校（静岡）軽音楽部のバンド「イクラノドン」は、片思いを思わせるミディアムテンポの「エモさ」あふれる楽曲で会場を包み込んだ。（椎木里咲）

「僕の命半分あげる」エモい歌詞にドキドキ

軽音楽部門には31都道府県から56バンドが出場し、5分以内のオリジナル曲を1曲披露した。順位付けや表彰は行われない。

スリーピースバンドのイクラノドン。バンド名の由来は「いくら」と「恐竜」が好きだからだそうだ
 

イクラノドンは３人で活動するスリーピースバンド。披露したのは「僕と君のこと」という楽曲だ。ボーカル兼ギターの上田舞琴さん（3年）がたった3日間で作り上げた。楽曲は、「空想」をまとめ上げてつくるという。「頭の中で物語が浮かんできて、登場人物を動かしている」

「僕と君のこと」を作る際に意識したポイントは「エモさ」。「僕の命半分あげる　だから君の気持ちが欲しい」という歌詞が印象的だ。片思いを描いた曲にも聞こえるが、上田さんは「解釈は人それぞれに任せる」と言う。

「単純に弾いていても感情移入させられない」と話すのは、ベースの君山のまさん（3年）。しかし、演奏に凝り過ぎてしまうと、「僕と君」の関係を描くのに必要な「素朴感」が表せないという。「やりすぎキケン！」と演奏の難しさを語る。

大きい会場の照明に「目がやられた！」

軽音楽部に入った理由を尋ねると、ドラムの加藤泰斗さん（3年）、上田さんは口をそろえて「先輩が格好よかったから」と目を輝かせる。中学では吹奏楽部だったという君山さんは、音楽が好きなことから高校では軽音楽部に入部したそうだ。

左から君山さん、上田さん、加藤さん

加藤さんは「中野サンプラザという広い場所は経験がなかったけれど、緊張せずに演奏できた」、上田さんは大きなステージの「照明で目がやられた」と笑顔。君山さんは「いつもは本番前に緊張してしまうけれど、今日は『ベースが弾きたい！』という気持ちが強かった」と、総文祭を心から楽しんだ様子だった。