市川高校軽音楽部は、各バンドがオリジナルの曲作りに取り組み、校内外で年間約20公演を行う。昨年秋には、1組のバンドが千葉県の大会でグランプリを手にした。

市川高校軽音楽部のバンド「クレーパーズ」

始めはバラバラだった

同学年でバンドメンバーをそろえてから入部するのが習わしで、4月現在、12組のバンドが活動中だ。3年生4人によるロックバンド「クレーパーズ」もその中の一つ。ボーカル&ギターの米長晃君(3年)、ベースの德田哲哉君(3年)の幼なじみコンビを中心に、1年生の4月に結成した。

「バンドを組んだものの、実はメンバー各自の音楽の志向はバラバラでどうしたものかと(笑)」(德田君)。バンド内で話し合いやセッションを重ねるうちに、ボーカルである米長君の音楽性に寄せたサウンドを築き上げていった。「4人の異なる音楽性が逆にオリジナリティーのある音の表現につながったと思う」(ドラムスの山崎智也君・3年)

渾身のライブを魅せた

クレーパーズ

部では月に1度、全部員参加の「部内発表会」が設けられている。演奏を披露する各バンドの技術や表現力を顧問の先生と部員たちが点数評価。そして学年ごとに順位付けすることで、各バンドのレベルアップを促すシビアな会だ。

実は、クレーパーズは、学年最下位がほぼ定位置の時期が長く続いた。「やっぱり悔しい。完全に実力不足でした」(米長君)。奮起したメンバーは、地道なバンド練習に没頭。演奏力だけでなくライブパフォーマンスも磨いた。

そして2年生の部内発表会で学年1位に選ばれ、部の代表として昨年11月、「第7回千葉県高校軽音楽新人コンテスト」(千葉県高校軽音楽連盟主催)に出場。大会では、德田君作曲の疾走感あふれるナンバー「蜃気楼(しんきろう)」を演奏した。ギターの蓮江光馬君(3年)が間奏部分で奏でる、エモーショナルなソロも印象的な楽曲だ。「ステージから僕らを応援する部員たちの顔が見えた。それが力になり、楽しんで歌えた」(米長君)。渾身のライブを魅せた結果、見事グランプリに輝いた。

(文・写真 中田宗孝)

部活データ

創部30年以上。部員39人(3年生10人、2年生29人)。週3日活動。2018年の第6回全国高校軽音楽コンテスト千葉県大会で、部のバンド「Metropolis」が準グランプリ、「Spear-MINT」が奨励賞(3位相当)に輝いた。