高校3年間は、過ごし方や選択で将来が大きく変わってしまう大事な時期。「勉強がうまくいかない」「進路が決まらない」など、悩みが尽きないでしょう。20歳で学習塾を創業し、4000人以上の生徒を直接指導してきた石田勝紀さんに、読者からの勉強や進路に関わるお悩み相談に答えてもらいました。

【お悩み】高1、周りについていけなくて不安で焦る…

将来が、不安です。と言っても、1年、2年後の将来です。

私は今、商業高校に通う高校1年生。新しく学ぶ商業科目が難しく、うまくいきません。勉強についていくのがやっとで、入学してまだ2~3カ月だというのに、もう学力の差が……。みんなに置いていかれた気がしてつらいです。

周囲と学力の差を感じて辛い…(写真はイメージ)

「なんで商業高校にはいったんだろう」「私は商業高校が合っているのかな?」など色々思ってしまい気持ちが最近憂鬱です。特に商業科目の先生が怖い先生で……私が指された時、分からなくて答えられなかったんです。それで、怒鳴られてしまい、みんなの前で10分くらい私が分かるまで先生が説明したことも。

私以外の人は答えられていたので、恥ずかしさやトラウマ、焦りで余計に苦手意識を持つような形になりました。「このまま3年間この高校でやっていけるのか」という不安でいっぱいです。不安で毎日緊張します。どうすればいいのでしょう。(うみちゃん・高校1年女子)

今、とても不安ですよね。そのようなことがあればなおさらのことです。私も高校に入ったとき、あまり勉強しているように見えない周囲の同級生たちが、とてつもなく勉強ができるのを見て、焦ったものです。このままやっていけるのだろうかと。

未来の不安はその通りにならない

不安の大半は未来に対する不安です。しかし、その未来への不安は“残念ながら”その通りにならないのです。なぜなら、自分も成長し、周囲も変わっていくからです。

また、「隣の芝生は青い」という言葉通り、周囲は輝いて見えたり、自分より優れて見えたりします。しかし、実態はそうではありません。皆、それなりに必ず悩みを抱えていています。それは表に出さないのでわからないだけです。あなたの友人も、あなたのことをそこまで心配しているとは思ってもいないことでしょう。人間、そういうものなのです。

隣の芝生は青く見える

「自分以外の人は答えられた」と書かれていますが、自分が劣っていると思うと、周囲の輝いていることばかりが目に映り、自分をさらに貶めていくものです。実は、自分以外の人でも答えられない人は本当はいるのです。ということで、現実はどのようなものなかのお話してきました。

友人に今の気持ちを「ただ話してみて」

そこで、肝心のこれからの対策についてお話しますね。

2つあります。一つは、話が気楽にできる友人に今の自分の気持ちを話してみてください。よく聞いてくれると思います。大切なことは、話をする目的は解決することではないということです。話をすると気持ちが整理されたり、軽くなったりすることは誰しも経験したことがあります。それが目的です。もう一度言いますね。ポイントは解決することではなく、「今の自分の気持ちをただ話することだけ」です。

自分の気持ちを話すことが大切(写真はイメージ)

勇気を出して先生に質問しに行こう

もう一つは、先生に質問に行ってください。先生に質問することって、とても勇気が必要なことですが、それは初めだけです。1回できればあとはたいしたことありません。勉強でわからないことを質問するのが実行しやすいと思います。

自分ができない科目の先生のところに行って、「私は劣等感があって勉強がどうしてもできません。どうしたらいいですか?」と聞いてみてください。先生は必ずアドバイスをしてくれます。

もし邪険にされたら「その先生が完全アウト」

通常は生徒の気持ちを汲み取って、できる範囲内でアドバイスをしてくれますが、万一、邪険に扱われた場合(めったにないけども)その先生はアウトです。あなたが悪いのではなく、「先生が完全アウト」ということですので、適当に切り上げて別の先生に質問しに行ってください。

99.99%以上の確率で先生はあなたをサポートしてくれます。そして面白いことに、先生は質問に来る生徒に対して見方が変わって、授業中、できないことがあっても怒るということもなくなります。先生といえども人間ですからね。

以上、できることは2つ。友人に話すことと、先生に質問すること。この2つだけです。これで人生が変わっていきます。ちょっとだけ勇気をもって行動してみてください。

それと最後にちょっとしたアドバイスです。あなたのような感性の素晴らしい人は、心理や教育が向いていると思います。例えば、学校の先生になることも一つの道です。先生は勉強が始めからできている人ではなく、苦労した人が向いています。明るい未来に進めると思います。

 
石田勝紀さん 
いしだ・かつのり 教育者。教育デザインラボ代表理事。著書執筆・講演活動を通じて、学力向上のノウハウ、社会で活用できるスキルやマインドの習得法を伝える。『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば
』(集英社)など著書多数

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