政府は、電力の安定供給が厳しい状況にあるとして、2022年夏、全国の家庭や企業に節電を要請することを決めた。要請の理由や内容をQ&A形式でまとめた。

Q なぜ政府が節電要請を出すの?

A 電力需給がひっ迫して、電力不足になる恐れがあるためだ。ロシアによるウクライナ侵攻の影響でエネルギー価格が上がり燃料を調達しづらくなる危険が高まっている事情もある。全国への節電要請は2015年度以来7年ぶりだ。

Q 節電要請の期間は?

A 7月から9月までだ。

Q 家でできる節電方法は?

A 政府は一律の数値目標を設けないが、家庭や企業に具体的な対策を示す。エアコンの温度を28度に設定すること、冷蔵後の設定温度は「中」とすること、不要な照明は消すこと、テレビは省エネモードにすること、などだ。中でもエアコンや冷蔵庫の電力消費量は大きい。エアコンのフィルター清掃を2週に1度はすること、カーテンなどで日差しを和らげることも節電に有効という。家庭でできる節電方法が経済産業省資源エネルギー庁のサイトにまとめられている。

Q どれくらい電力が足りないの?

A 電力の安定供給には、ピーク時の需要に対する供給量の余裕を示す「予備率」が最低3%、できれば7~8%は必要とされる。この夏に、10年に1度の猛暑になった場合、東北・東京・中部で予備率3.1%とぎりぎりになってしまう恐れがあるという。

Q 10月以降は電力の心配はないの?

A 暖房が必要になる冬は、電力需給が2012年度以降で最も厳しくなると心配されており、数値目標を伴う節電要請を政府が出す可能性もある。

Q なぜ電力が足りなくなったの?

A かつてに比べ火力発電所からの供給が減っているためだ。世界的な「脱炭素」の流れの中で、稼働率が低下し、休止や廃止が進んでいる。加えて、原子力発電所の多くが稼働していない。安全対策工事がすんでいなかったり、電力会社の不祥事が起きたりしたためだ。

Q 電力の供給を増やすことはできるの?

A 政府は電力会社に休止中の火力発電所の再稼働や、LNG(液化天然ガス)など燃料の追加調達、再生エネルギーや安全性が確認された原子力発電の最大限の活用を求めてもいる。