科学技術振興機構(JST)は7月7日、47都道府県の代表校の高校生が競う「第6回科学の甲子園全国大会」を来年3月に茨城県つくば市で開催すると発表した。大会参加者は年々増加している。女子の参加者や全国大会進出者が増えるかも注目される。(野村麻里子)
大会は、科学好きの高校生のすそ野を広げると共に、「トップ層」を伸ばすのが狙い。高校1・2年生(同学年の中等教育学校や高等専門学校生を含む)が6~8人のチームを組み、理科・数学・情報など科学技術を活用する競技(筆記と実技)に挑む。全国大会に出場できるのは各都道府県代表の1チーム。予選にあたる都道府県大会の開催時期や実施方法は県により異なる。全国大会は来年3月17日から20日まで。
女子の参加者は約3割、全国出場には「壁」も
前回の第5回大会は過去最多の668校、8261人が都道府県大会に参加した。このうち女子生徒は約3割にあたる2463人だった。第1回大会は、女子は1385人だった。参加者数が年々増えるのとあわせて、女子の参加も増えている。科学の甲子園推進委員会の伊藤卓委員長は「個人的には参加者が半分くらい女子になってもよいと思っている」と期待する。
一方、全国大会出場者に占める女子の割合は2割以下にとどまる。第5回大会の出場者365人のうち女子は67人(18%)だった。その中で唯一、女子のみのチームだったのが高崎女子高校(群馬)。今年も、「早めの対策がポイント」という参加者の声を受けて、募集要項発表前の6月から校内オリエンテーションを開催するなど、学校をあげての取り組みが目立つという。
海陽中等は米国派遣で「サムライ」に
前回大会を制したのは、愛知県代表の海陽中等教育学校の男子6人のチーム。全国優勝を受けて5月に渡米し、米国の高校生が競い合う科学の大会「サイエンスオリンピアド」に海外ゲスト(アンバサダーチーム)として参加した。開会式では浴衣を着て模造刀を片手にサムライ姿で登場し、会場を沸かせたという。
久保田禮君(5年=高校2年)は、「エネルギーを効率よく産み出す風車を作る競技に参加したが、風車の羽の素材は金属以外なら何を使ってもよいなど、日本の大会に比べてとても自由だった」と振り返る。1チーム15人で20競技以上を行うという大会のスケールの大きさにも驚いたという。チームリーダーの神田秀峰君(5年)は「次回も優勝して、またアメリカに行きたい」と意気込んでいる。