植草幹太君(千葉・長生高校3年)の写真作品「空も飛べるはず」を紹介します。空を飛ぶように宙に浮かんだ瞬間の友人を撮影したこの作品は、全国高校総合文化祭(紀の国わかやま総文2021)の写真部門に出展されました。どのように撮影したのか聞きました。
筋肉モリモリな友人への愛を込めて
―作品のテーマを教えてください。
テーマは躍動感です。テーマにした理由は、私の友人に「筋肉モリモリマッチョマン」がいて、よく写真を撮らせてもらったことがきっかけです。
体育祭のときの待ち時間に、その友人が腕立て伏せを突然始めたので、自然とシャッターを切っていました。正直なところ、撮影時には特にテーマなどは考えていませんでしたが、改めて写真を見直したときに「躍動感」を感じることができました。
作品に込めた思いは、友人に対する愛です。彼のポテンシャルを十二分に描写できるように頑張りました。
―こだわったり、工夫したりしたポイントは?
晴れた青空とグラウンドの芝生の対比で、夏らしさとさわやかさを演出できるようにしました。
また、タイミングを見計らって足や全身の角度を計算し、躍動感を出せるようにしました。
背景にあえて木々や住宅を写すことによって、一般の高校生の日常を感じられるようにし、その日常の中で起こる非日常をこの一枚に収めました。
ブレずに撮るのが難しい
―何が難しかったですか?
難しかった点は、モデルが飛んでいる間にブレずに撮ることです。正直、ブレさせて躍動感を出してもよかったのですが、あえて静止させることによって決定的瞬間を撮った感じを出して、永続的に飛行しているさまを表現しました。
晴天に恵まれたことは幸運でした。モデルに日が当たらないと、全体的に重くなってしまいます。飛んでいるイメージなので、重くなっては元も子もありません。あとで確認すると、うまくいっていたのでよかったです。
―撮影中のエピソードを教えてください。
急に腕立て伏せを始めた友人を見たとき、これは面白い写真になるだろうと思ったことが撮り始めたきっかけでした。
「これまでの高校生活を共にした友人を、どれだけ魅せられるか」ということを念頭に、いつしか彼と2人で構図を考え始め、撮影に没頭したことはいい思い出です。
最高の1枚が撮れた瞬間は、目を閉じれば今でもまぶたの裏に浮かんできます。
―よい作品を作るためのコツを教えてください。
いい写真や人に認められる写真を撮ろうとするのではなくて、自分が撮りたいと思ったものを自分で納得できるまで撮るということが大切だと思います。
「下手な鉄砲、数撃ちゃ当たる」ではありませんが、何度も何度も撮るというのが上達のコツだと思います。