新陽菜さん(京都・西城陽高校3年)の写真作品「黄昏の幻想」を紹介します。夕焼け空をほうきに乗って飛ぶ「魔女」を写したこの幻想的な作品は、全国高校総合文化祭(紀の国わかやま総文2021)の写真部門に出展されました。どのように撮影したのか聞きました。
本物の魔女のような一瞬を切り取った
―作品のテーマを教えてください。
きっかけは、このモデルの子がハロウィーンのときに「魔女の宅急便」のカチューシャをつけていたことです。その子がとてもかわいくて、普通に撮影したり、ふざけながら撮っていたりしたのですが、夕方外に出たときに、本当の魔女のようにそのまま空に飛んでいきそうな雰囲気があったんです。
そんな光景がすごく不思議で、夕日に照らされるその子がすごく妖艶で、「私が今見ているこの景色をそのまま写したい」と思い、撮影に挑みました。
「放課後一人で空を飛ぶ練習をしている?」
「ほうきに乗って家に帰ろうとしている?」
「魔女に憧れてほうきに乗ってジャンプしている?」
鑑賞された方々に、この女の子が今何をしているか、幻想的な風景をいろいろ想像して楽しんでいただけたらなと思います。
500枚の中から渾身の一枚
―こだわったり、工夫したりしたポイントは?
飛んでいるシルエットにこだわりました。
ただ真っすぐ上に飛ぶだけだと、髪の毛がうまくなびかなかったので、少し走ってからジャンプをしてもらったり、ほうきの穂がしっかり写るように角度を調整したり、足を揃えず飛んでもらったりなど……。
モデルと一緒に考えながら工夫を凝らし、さまざまなシルエットの写真を撮影し、約500枚の中からこの写真を選び抜きました。
―何が難しかったですか?
夕日の色をきれいに出すのが特に難しかったです。
プリンターによってノイズが入ってしまったり、黄色っぽくなりすぎてしまったり、逆に青っぽくなりすぎてしまったりして、なかなか本来のきれいな夕焼けを写すことができませんでした。
微調整をしながら納得がいくまで何回も印刷しました。
会話で和んだ空気を作るのが大切
―撮影中のエピソードを教えてください。
やはり友達との撮影なので、ワイワイしながらで、とても楽しかったです!
シルエットを良くするために工夫してたのですが、その中で「手の位置をずらしてみよう」という話になり、撮った写真がまぁひどくて(笑)。肩がすごく出て不格好になりました。
良いシルエットを求めて2人で迷宮入りしたのはいい思い出です(笑)。友達へ、一緒に考えてくれてありがとう!
―よい作品を作るためのコツを教えてください。
モデルとの会話が大切だと感じました。やはりある程度親しくなければ、表情が固かったりポーズのお願いがしづらかったりするので、会話で和んだり仲良くなるのが大切だと思います。
何よりモデルに、完成した作品を見て「楽しかった」と思い返してほしいです。