今井友紀康君(岐阜・益田清風高校3年)の美術作品「槌ノ子大怪獣イヅチ」を紹介します。特撮映画に登場するような迫力ある怪獣をケント紙などで作り上げた立体作品で、全国高校総合文化祭(紀の国わかやま総文2021)の美術・工芸部門に出展されました。どのように制作したのか聞きました。

槌ノ子大怪獣イヅチ(第45回全国高等学校総合文化祭 紀の国わかやま総文2021 美術・工芸部門出展)

特撮の怪獣を作りたくて

―作品のテーマを教えてください。

重いメッセージを込めるのではなく、「見た人が感覚で楽しむことができる作品」を作ろうと考え、自分が大好きな特撮映画に登場するような「怪獣」の立体作品を作ることに決めました。

モチーフとして「ツチノコ」が扱いやすいと考えました。テレビや映画でおなじみの怪獣たちのように、分かりやすいデザインにするため、そして、怪獣のカッコよさや面白さを加えるためです。

私の地元、東白川は、「ツチノコ」の目撃情報が多い場所として知られています。作品の台座中央にある建物は、実在する「つちのこ神社」をアレンジしたものです。

「槌ノ子大怪獣イヅチ」の制作風景

ふるさとが、長く豊かにあり続けてほしいという願いもちょっぴり込めました。

―こだわったり、工夫したりしたポイントは?

うろこは1枚1枚ケント紙を折って作り、その上に光るテープを貼って、赤茶色のマニキュアを塗りました。独特の質感が出せたと思います。

また、目玉をすりガラスにするために、ガラスをサンドブラスト(細かい砂をかけて表面のツヤを消す機械)で加工して、虫の複眼のような模様をつけました。

台座には、できるだけ多くの遺跡の彫刻を掘って、台座だけでも楽しんでもらえるような作りにしました。

延々と続く単調作業にも負けずに

―何が難しかったですか?

うろこは数百枚あったため、1枚1枚、折って塗料を塗って貼る、単調な作業が延々続き、大変でした。

うろこは1枚1枚作って貼っている

背中にある葉のようなうろこは、粘土で作りましたが、薄く大きく作ったため、上に伸びた状態で保持するのが難しかったです。

怪獣全体をかなり複雑な造形にしたため、そこにさまざまな色を塗ることが大変で、とても時間がかかってしまいました。

―制作中のエピソードを教えてください。

作品制作には1年程かかったのですが、先生が、夏はアイスクリーム、冬は肉まんといった差し入れをしてくださいました。同じく作品の制作に励む先輩方と一緒に、その差し入れをいただくことで、長い制作をやり続けていくことができたのかもしれません。

学校の美術室のほうが集中して制作ができます。コロナの休校期間中は家庭での作業がはかどらず、締め切りギリギリの出品になってしまいました。

―よい作品を作るためのコツを教えてください。

テーマ性を求めて真面目に取り組むよりも、「こんなのを作れたら面白いな」という直感に素直に従ってものづくりをするといいと思います。

普段から目にするさまざまなものに興味をもち、形にしてみることをお勧めします。

制作者の今井友紀康君