大勢の前で用意した原稿を発表する。考えただけで手には冷や汗……なんて、プレゼンテーションが苦手な人も多いのでは。プレゼンで苦い経験を持つ青木勇樹君(東京・新宿山吹高校3年)が、原稿を読むことをサポートしてくれるアプリ「Presc」を開発。アプリ開発の全国大会「アプリ甲子園」で3位に入り、技術賞に選ばれた。(高槻官汰)

プレゼンが苦手な人のためのアプリ

「Presc」は、プレゼンテーションが苦手な人のために作られた原稿表示アプリ。準備から本番までを一貫してサポートし、成功に導く。

プレゼンテーション用原稿表示アプリ「Presc」

開発のきっかけは、青木君自身がプレゼンテーションを行った際の苦い経験。

「緊張して頭が真っ白になって、原稿をどこまで読んだか分からなくなった」「制限時間を大幅にオーバーし、最後まで話せなかった」など、誰もが一度はしたことがあるような経験だ。

「Presc」を使えば、基本的なメモ帳機能に加え、文字数や読むのにかかるスピードを計算しながら原稿の準備ができる。また、過去に作った原稿にタグを付けて分類しておくことで、原稿の整理ができる。青木君は「プレゼンテーションを行う上で重要なのは発表だけではない。原稿の準備と整理も、成功のためには不可欠な要素」と、準備の大切さを力説する。

話すスピードに合わせて原稿表示

プレゼンテーション本番でも「Presc」は大活躍する。発表者の音声を自動認識し、話すスピードに合わせて原稿を表示してくれる機能のほか、経過時間や声量を確認できる機能も搭載されており、プレゼンテーションの手助けをしてくれる。

このアプリは10月24日、小中高生のアプリ開発者が企画力と技術力を競う「アプリ甲子園2021」決勝大会で第3位と技術賞のダブル受賞を果たした。審査項目の一つ「実装力」では、100点満点を獲得するなど、高く評価された。

「Presc」は結婚式のスピーチなどの失敗したくない場面、YouTuberの動画制作での活用も期待される。「このアプリはまだまだ未完成。より利用しやすくなるように、ページ分割機能や原稿編集機能を充実させていきたい」

「Presc」開発者の青木勇樹君

進路について「情報学部に進みたい。将来は企業でエンジニアとして仕事がしたいと思っている」という。

最後に「審査員は細部にわたってよく見ている。アプリの基礎的なところから細かい作り込みまでを大切にして頑張ってほしい」と今後大会に挑む後進にエールを送った。