世界の高校生たちはどんな学校生活を送っているのでしょうか? 今回はイタリアのトリエステ近郊に住むヨハンナさん(3年)にイタリアの高校生活について紹介してもらいました。(取材・翻訳 高校生記者・もも インタビューは英語)
部活なし、午後2時までに授業も終了
―どんな高校に通っているのですか?
私はスロベニア人で、1年前までイタリアのトリエステにあるスロベニア語で授業が行われる公立の学校に通っていました(現在はインターナショナルスクールに通学中)。
トリエステはスロベニアとの国境沿いにある都市で、自然が美しく、白亜の城など歴史的な建造物がたくさんあります。ちなみにスロベニアは人口約210万人の国で、イタリア、オーストリア、クロアチア、ハンガリーに囲まれています。
―1日のスケジュールについて教えてください。
朝は7時ごろに家を出て、45分ほどかけてトリエステ中心部にある学校までバスで通学していました。午前8時から午後1時45分まで、6時間分の授業があります。ほとんどの授業を同じ教室で受けます。
学校が終わったら、家に帰ってご飯を食べたり、用事があって残っているときはサンドイッチを食べたりします。
学校では部活のようなものはありません。けれども、私はいくつもの学外の課外活動を掛け持ちしていたので、平日の午後はとても忙しかったことを覚えています。
選択科目はほとんどない
―どのような授業がありましたか?
イタリアでは、科学系、古典系、音楽系、などと高校がいくつかの種類に分かれています。それぞれの高校では、選択科目はほとんどありません。
私の学校は、ほとんどの授業がスロベニア語で行われていました。科目選択の上では他のイタリアの公立高校と同じで、科学高校に通っていた私は「数学」「物理」「化学」「生物」「歴史」「哲学」「スロベニア語」「イタリア語」「英語」「ラテン語」「美術史・美術」「体育」の授業がありました。
スロベニア語の授業では、時系列でさまざまな文学を学ぶことができました。スロベニアの歴史についても知ることができたので、気に入っていました。
ラテン語の授業(日本でいう古文のようなもの)で文法を学ぶのはあまり好きではありませんでしたが、ラテン語文学の翻訳は楽しかったです。
音楽教室、スポーツチームに所属
―課外活動ではどのようなことをしていましたか?
イタリアの高校はあまり課外活動が充実していないため、多くの生徒は学外でスポーツチームに所属したり音楽を勉強したりします。
私の場合、陸上競技とフルートをしていました。陸上は週に6日、チームでの練習があります。フルートは他の音楽理論の授業などもあわせて週に3日音楽学校に通っていました。とても忙しかったです。
―カリキュラムや学校の制度は、他のイタリアの高校と変わらないそうですが、スロベニア語の高校に通っていたことでなにか違いを感じますか?
トリエステのスロベニア語話者の割合は、地理的・歴史的な理由で、他のイタリアの地域に比べて多いです。けれども、やはりマイノリティーであることには変わりないため、学校の規模はとても小さかったです。そのため、高校の5年間で教職員と全員顔見知りになることや、生徒同士もお互いをよく知っていることは大きな違いではないかと思います。
―進路はどのように決めますか?
現在私はインターナショナルスクールで勉強しているため、ヨーロッパの他の国やアメリカの大学に進学するという選択肢も考慮しています。
元いた学校では、ほとんどの生徒がスロベニアかイタリアの大学に進学します。トリエステ大学にはスロベニア文学を学べるコースもあるほか、普通のイタリアの大学に通う生徒と、トリエステと国境を接するスロベニアのリュブリャナなどの大学に進学する生徒は半々くらいです。
環境問題に興味あり、ごみ拾いしてます
―興味のある社会問題はありますか?
自分が活動家であるとは思いませんが、最近は特に環境問題に興味があります。
使うプラスチックの量を減らしたり、道端に落ちているごみを拾ったり、という小さなことを、一人一人がやっていくことで、現状を少しでも改善することができると思っています。日常的に少し気を付けて過ごすようにしています。
―将来の夢は何ですか?
現在、スロベニア語の新聞でライターとして働いています。書くことを続け、イタリア語・スロベニア語を問わず、いつかはもっと大きな新聞社でも働いてみたいです。
また、文化やアートに興味があるため、将来的には美術館やファッションブランドで働くか、文化省で文化について宣伝する職についたりしてみたいです。