27年ぶり、10月から
宅配便最大手のヤマト運輸は個人が送る荷物の基本運賃を全面的に改定、10月から荷物のサイズに応じて140~180円(税抜き)値上げすると発表した。基本運賃の値上げは消費税増税時を除くと27年ぶり。
併せてサービスも見直し、当日再配達の受付終了時間を午後7時に1時間繰り上げた。さらに、6月には正午~午後2時の時間帯指定サービスを廃止、午後8時~9時の配達時間帯は午後7時~9時に広げる。
10年で荷物が6割増加
インターネット通販の普及による荷物の急増が主な原因だ。日用雑貨を購入する消費者が増え、即日配達などのサービス多様化や、不在の場合の再配達が増加していることが背景にある。
ヤマト運輸が2016年に扱った荷物は過去最多の約18億7千万個、この10年間で約59%膨らんだ。特に、ネット通販最大手アマゾンジャパンの荷物取り扱いを始めた13年度には16億個を突破した。一方、現場では人手不足で荷物がさばききれず長時間労働が慢性化し、残業代の未払いも発覚するなど労働問題も表面化した。
宅配便の約9割をネット通販など企業との法人契約が占めている。ヤマトは法人契約も値上げをしたり、契約を打ち切ったりするなど見直しをする。アマゾンの即日配送からの撤退も検討しているとされる。
人手不足、他業界でも
値上げに伴い、自宅近くのヤマト店舗で荷物を受け取ったり、宅配ロッカーを活用したりする利用者には割引やポイント付与の制度を新設する。
最大手のヤマトが値上げに踏み切ることで、他社も追随する可能性がある。
「働き方改革」が叫ばれる中、宅配便だけでなくコンビニの24時間営業など、人手不足による「限界」も浮上している。働き方を変えるためには、消費者が多少の不便を受け入れることも必要だろう。