2021年のノーベル物理学賞は、日本出身でアメリカ国籍の気象学者である真鍋淑郎(まなべ・しゅくろう)さん(90)ら3人に贈られることが決まった。授賞理由は、地球温暖化を予測する気候モデルを開発したことなど。スウェーデン王立科学アカデミーが10月5日、発表した。日本出身のノーベル賞受賞者は28人目。

温暖化予測の基礎を築く

真鍋さんは、コンピューターを使って、気候の変動を解明するという新しい研究分野を開拓し、現代の地球温暖化予測の理論的基礎を築いたことが高く評価されていた。

ノーベル財団のツイッターから

東大出身、米国に渡り気候を研究

真鍋さんは現在、プリンストン大学の上席研究員。東京大学理学部を1953年に卒業し、58年に同大大学院理学系研究科で博士号を取得した。その後、アメリカに渡り、気象局や海洋大気庁で気候を研究。世界で初めて「大気海洋結合大循環モデル」と呼ばれる計算方法を開発し、二酸化炭素濃度の上昇が地球温暖化に与える影響を明らかにした。

日本で一時研究したことも

1997年から2001年まで帰国し、当時の宇宙開発事業団・海洋科学技術センターの地球フロンティア研究システム地球温暖化予測研究領域長を務めた。再び渡米し、2002年からプリンストン大学の上席研究員を務める。

ノーベル財団のツイッターから

賞金は共同受賞の3人で分ける

真鍋さんはドイツとイタリアの研究者との共同受賞。賞金1000万スウェーデンクローナ(約1億2000万円)は3人で分ける。授賞式は12月10日だが、新型コロナウイルス感染症の影響で、受賞者は居住国でメダルなどを受け取る見通し。