富士山の麓に住む高校2年生、Keigo君は「富士山写真家」。四季折々の富士山の表情を撮影し続けています。Keigo君に、富士山撮影の魅力について語ってもらいました。

高校生富士山写真家 Keigo君

富士山は身近な存在、独学で撮影

―いつから写真撮影を始めたのですか?

小学5年生のとき祖父からカメラをもらったのがきっかけです。

富士山を撮影中のKeigo君

―撮影技術はどのように磨きましたか?

カメラの操作については、説明書がボロボロになるまで何回も読み返して覚えました。撮影技術はほとんどが独学です。ネットや本で学びました。また、撮影を繰り返していく中で学んでいます。

―なぜ富士山を被写体にしているのですか?

河口湖周辺に住んでいて、富士山が目の前にあるからです。自宅や学校からも見え、生まれたときから常に身近にあります。富士山の見えない場所に住んでいたら、撮影していないと思います。

富士山を本格的に撮り始めたのは中学2年生の頃からで、それまでは野鳥、花、電車などを撮影していました。富士山は、散歩をしているときや野鳥の撮影に行ったときに少し撮るだけという感じでした。

一生富士山を追いかけていたい

富士山を本格的に撮り始めようと思ったきっかけは、ある冬の朝、河口湖の湖畔を散歩していたときに見た「赤富士」(早朝に富士山が赤く染まって見える現象)に感動し撮影したことです。そこからネットで富士山について調べたり、SNSで富士山写真家の写真を見て何度も撮影に行ったりして、ハマっていきました。

「雲上の赤富士」(山梨県/忍野村) 山梨県の忍野村で撮影した雲上の赤富士。夏らしい赤富士と雲海を撮影しました

本当にすごいシーンが撮れるのは年数回

―どんなとき撮影に行きますか?

基本、富士山の見える日は一年中撮影しています。本当にすごいシーンが撮れるのは年間で数回です。それを逃さないために追いかけ続けます。

富士山の撮影は快晴の日がベストだと思われがちですが、その逆で、本曇り(空一面に雲が広がった状態)の方がすごい朝焼けや夕焼けが起こったりします。特に梅雨や台風の時期は「爆焼け」(ものすごい夕焼け)したり、すごい雲が出たりするので油断できません。自分の場合は天気予報、衛星画像やライブカメラを見て判断し撮影に出掛けます。

「白銀の世界」(山梨県/富士吉田市) 前夜に雪が降り、雪景色を狙って朝撮影に出掛けました。木々に雪がついて樹氷となり、題名通り一面が白銀の世界に。気候条件が難しくなかなか出会えない景色です

―撮影する際にこだわっていることは?

一番は楽しむことと、その場にいる人しか感じられない景色を感じることです。大きなこだわりはありませんが、「印象に残る写真を撮りたい」「その場の空気感や臨場感を出したい」と思っています。これはまだまだできていません。

強烈な朝焼けに出会い「ドキドキが止まらない」

―富士山の魅力を教えてください。

富士山はとにかく奥深い。見る場所や時期、天気などで表情が変化し、さまざまな顔を見せてくれます。人によって見方や撮れる写真が全く違うのも面白いです。

―富士山を撮影中、印象に残っているエピソードを教えてください。

一人で撮影に行くよりも、人と一緒に行ったときの方が思い出に残りやすいです。大好きな憧れの写真家さんに連れて行っていただいたときと、父と桜の時期に撮影巡りをしたことが思い出深いです!

特に印象に残っているのは、今年の5月に山中湖村で撮影した、爆焼けした雲と富士山です。

この日は母に車で送ってもらい撮影場所まで行きました。

「萌える富士」(山梨県/山中湖パノラマ台) 雲の位置、光の角度などめったに見られない朝焼けでした

朝焼けがとにかく強烈で空全体が「焼け色」に染まりました。その景色が衝撃的で撮影から数日たってもドキドキが止まりませんでした。大げさに言うと「世界が終わるのではないか」「何か怖い事が起こるのかも」と思うくらい見たことのない強烈な「焼け」でした。

生涯富士山を追いかけたい

―今後の展望や目標、将来について教えてください。

いろいろな場所からさまざまな富士山の表情を撮ることです。焼けや雲の動き、気象状況を予測してすごい富士山を撮影したいです。

ほかにも、同世代で富士山を撮る人がまだ少ないので、富士山の魅力を伝えていきたいです。将来の夢は決まっていませんが、好きなことを仕事にしたいです。できるのであれば富士山写真家になって、一年中、生涯富士山を追いかけてみたいです。