高校3年間は、過ごし方や選択で将来が大きく変わってしまう大事な時期。「勉強がうまくいかない」「進路が決まらない」など、悩みが尽きないでしょう。20歳で学習塾を創業し、4000人以上の生徒を直接指導してきた石田勝紀さんに、読者からの勉強や進路に関わるお悩み相談に答えてもらいました。
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【お悩み】母と祖母に志望大学を反対されます
通信制の大学に行きたい
教室にいることがつらくなり、教室に行けなくなって不登校になりました。しかし、悩んでいるのは、不登校についてではなく、進学先についてです。
教室にいるのがつらいので、通わなくていい通信制の大学への進学を希望しています。父には反対されていませんが、母と祖母には反対されています。
母も祖母も反対、勉強を強いてくる
母には国公立の大学を勧められ、祖母には「通信制の大学なんて世間から認められないからダメ」と言われました。授業を受けていないため、勉強は追いついておらず、国公立大学を受験しても受かるような状態ではありません。
母も祖母も「それくらい努力して埋めればいいじゃない」と簡単に言います。そもそも、勉強についても、テストのために、点数や順位をつけられるために勉強しているような気がして、疲れて嫌になって、ほとんど勉強できていません。
私の状態を理解してもらいたい
母と祖母に私の状態を理解してもらいつつ、通信制の大学に進学したいことを受け入れてもらうには、どうすればいいでしょうか?(高校3年女子・P.N. あでーれらくす)
【回答】感情で話さず「ダメな根拠」を聞いて理性的な態度を
母と祖母から進学先について反対されているということですね。よくあるケースです。人によっては家族全員から反対され「四面楚歌」状態になっている人もいます。
進学先に反対する家族に高校生はどう向き合うか
周囲の人は、良かれと思って言っているのでしょうが、得てしてそれは自分の価値観の押し付けになっていることが少なくありません。自分が生きてきた人生や考え方を肯定したいというある種の本能的な特徴から発するものです。
肯定するだけなら問題ありませんが、それを他に押し付けることから問題が発生します。
親世代が「古い価値観」を押し付けてくる
20世紀の考え方、あり方にどっぷり浸かってきた世代は「世間体」や「他と同じことが良いこと」という古い考え方を持つ傾向があります。「国立でないとダメ」「通信は世間から認められないからダメ」という言葉はまさにその代表例です。
21世紀における現代の情報にアップデートしていないと、こうしたチグハグなことを言ってしまいます。「国立でなければならない根拠は何か?」「通信制が世間から認められない根拠は何か?」ということです。
ちなみに現時点では通信制はメジャーではないものの、かなり注目を浴びてきています。特に新型コロナになり、大学のあり方自体も問われ、大きく変わってきています。
今、まさに母と祖母はそのようなアップデートできていない状態で、21世紀を生きる子どもの進路に対して口出ししている状態になっているのだと思います。
「言いなりにならず」いったん冷静に聞く
しかし、一方で、第三者は客観的に物事をみることができるため、アドバイスが参考になることもあります。ですから、このようなときはいったん、アドバイスを聞きます。聞くということは「言いなりになる」という意味ではありません。とくかく冷静にいったん聞くということです。
そしてその上で、自分の考えと比較をしていきます。そしてそのときのメリットとデメリットを考えます。自分の考えを貫いたときに起こると思われるメリットは何か。デメリットは何か。そして、母や祖母の意見通りに進んだ場合のメリットは何か、デメリットは何かと。
このように考えることで単に感情だけで判断するのではなく、冷静で理性的判断をすることができます。そのようにして下した判断は正しいものです。
最終的には「自分で決める」
ですから、意見を聞きながら、最終的には自分で決めるということです。
自分の人生はあくまでも自分の人生であって、母や祖母の人生ではありません。自分がこれから進む人生に対して責任を負えるのは自分だけなのです。ですから自己選択、自己決定、自己責任が大切ということになります。
最後に、どうしたら母や祖母を説得できるかということですが、感覚で答えるのではなく、前述したように、ダメな根拠を言ってもらい、そして、「最終的に自分で判断をしたい」ということをしっかりとした態度で話すことでしょう。そうすることによって、今後の人生も自分らしく生きていくことができると思います。
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いしだ・かつのり 教育者。教育デザインラボ代表理事。著書執筆・講演活動を通じて、学力向上のノウハウ、社会で活用できるスキルやマインドの習得法を伝える。『ぐんぐん伸びる子は何が違うのか?』(学研プラス)など著書多数。