三重県志摩市を主会場に5月26、27の両日、主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)が開かれる。主要国の首脳が年に1回、一堂に会して世界の重要課題を話し合うもので、日本での開催は6度目になる。サミットはどんなきっかけで始まり、今回の伊勢志摩サミットで各首脳は何を話し合うのだろうか。
三重で今月開催 主要国首脳が一堂に
Q いつ始まった? 参加国は?
1975年11月、ジスカールデスタン仏大統領の呼び掛けに応じて米、英、西ドイツ(現ドイツ)、イタリア、日本の首脳がパリ郊外のランブイエ城に集まった。これが第1回サミットで、石油危機後の不況やインフレ対応が主要議題だった。
カナダが第2回会議(76年)から参加、「主要7カ国(G7)」になった。ロシアは冷戦終結後の第20回(94年)から政治討議に、第29回(2003年)から全日程に参加し「主要8カ国(G8)」となったが、14、15年はウクライナ情勢をめぐって排除され、G7で行われた。
10年から経済問題を討議する主要な場は20カ国・地域(G20)首脳会合=金融サミット=に移り、G8は政治問題を中心に討議する場となった。
Q 各国首脳は何を話し合う?
伊勢志摩サミットでは、過激派組織「イスラム国」(IS)が引き起こすテロへの対策、不透明感を増す世界経済への対応が主な議題となる。また、熊本・大分両県を中心とする地震を受けて、急きょ、防災への国際的な取り組みも話し合われることになるという。
このほか、「質の高いインフラ整備」などの途上国支援、核実験など挑発的行為を繰り返す北朝鮮への対応、中国が軍事拠点化を進める南シナ海問題も取り上げられることになりそうだ。「核なき世界」を提唱したオバマ米大統領の被爆地訪問が実現するかどうかも注目される。
Q 4月から会議が開かれているようだけど?
伊勢志摩サミットに先立ち、国内で分野ごとの「閣僚会議」が開かれている。その一つとして4月に広島で開かれたG7外相会合では、原爆で広島、長崎は「極めて甚大な壊滅と非人間的な苦難」を経験したとし、各国指導者の被爆地訪問を希望する「広島宣言」や議長声明を採択した。
7カ国外相は広島市の平和記念公園を訪問し原爆資料館を見学、慰霊碑に献花した。被爆から約70年を経て、日本に原爆を投下した米国をはじめ、核保有国の英国やフランスの現職閣僚の公園訪問が初めて実現したのは画期的な出来事だった。