高校生活の中でも部活動から得られることは大きいですが、中には部内の人間関係でつまずいたり、思ったより辛い経験をしてしまう人もいます。自分に合わない部活動を選んで「失敗した…」と後悔しないためにはどうすればよいのでしょう。先輩が高校生活を振り返って、部活を選ぶ時に気を付けてほしいことを語りました。前回の記事はこちらから。

座談会に参加してくれた高校生たち

Aさん(今春卒業、男子)

新聞部の編集長を務めるが、部長にこき使われるストレスで退部。部内のパワーバランスや風通しのよさ、トラブルにあったときの対処法などに興味あり

Bさん(今春卒業、女子)

硬式テニス部、中高一貫校のため、中1のときから所属。経験者であったため初めからレギュラーに。先輩や同輩との関係に悩み、退部。なぜその部活を選んだのか、部活に入るメリットや人間関係について興味あり

Cさん(今春卒業、男子)

演劇部、基本的には楽しく活動していたが、目標や価値観のずれからイライラを感じることも。入部後にしか分からなかった部活の苦悩に興味あり。

人間関係がうまくいかないとつらい

―みなさん、憧れていたり、やりたいという熱意をもったりする中で、入部したと聞きました。その後、どうでしたか? 例えば部内の人間関係とか。

B(硬式テニス)私の部では、先輩後輩同士はそこまでギスギスした関係ではありませんでした。ちなみに女子校でした。ただ同輩同士は人数が多いこともあり、なかなかうまくいきませんでした……。

A(新聞部)どの部活にも光と影があるんですよね。メディア系の部活でも同じです。上下関係は本当に厳しく……。1年生のうちは2年生のフォローに奔走していて、雑用中心でした。

上下関係が厳しくて……

C(演劇部)演劇部は頻繁にギスギスしていましたね(笑)。やはり表現の世界なので、練習がうまくいかなかったり、人の合う合わないの差が激しかったり。全体的には仲良くやっていましたが、部分的に嫌ったりはしていましたね。

―人間関係がうまくいかないとメンタル的に辛いですよね……。

B(硬式テニス)私が部活で辛かったのは、私だけが浮いている感じがしたことです。仲の良い子が1人いたのですが、その子が部活に来ないとその日は1人確定で、休憩時間も1人でした。特に高1、2のあたりが体調も精神的にも不安定で辛かったです。

A(新聞部)同じような経験をしていました。同級生の部員は女子8人、男子1人だったので、私だけ「のけ者」でしたね。何だか浮いているという感覚になるというのは、とても共感できます。

部活で上下関係を学ぶのは時代遅れ?

C(演劇部)Aさんは上下関係が厳しいと言っていましたが、上の立場になってから思うこととかがあったら知りたいです。

A(新聞部)入部当初は「ああ、こんな感じね」と一種「諦め」のような感情になっていましたね。しかし、1年生の10月、私は先輩にかつてないほどダメ出しをされ、記事の内容を勝手に変えられてしまったんです。それから徐々に辛くなりました。

上の立場になって、「後輩にはそんな思いはさせないぞ」と思い、優しく接しました。素直に、「上下関係って必要か」と思いました。日本の伝統なのでしょうが、部活で上下関係を学ぶというのは、ちょっと時代遅れかなぁ。

部活で上下関係を学ぶのは時代遅れ?

B(硬式テニス)上の立場に立って思ったことは、高2の先輩の大変さです。いちから部活を教えて中1から高1までの面倒をみて、部活のルールなどを教えこるのには時間かかります。高2の先輩の気持ちがよく分かりました(笑)

そんな中でも、後輩とのコミュニケーションは大切にしようと思いました。「頼りになる先輩になりたい」という気持ちはあったので(笑) 

仮入部の時によく観察すればよかった…

―入部して気づいた「思ったより辛かったこと」は何ですか?

B(硬式テニス)入部してからは、合宿が思ったより辛かったです(笑)

中1のときは、高2の先輩にたくさん怒られましたし、中1の部員のうち誰かが悪いことをすると連帯責任でコートを何周も走らされたりしました(笑)

そして夜のミーティングでは正座をさせられ、必ず怒られました。

A(新聞部)合宿が辛かったのですね。私の所属していた新聞部でも説教は日常茶飯事でした。私の場合は、女子からのいじめと、先輩からの説教のダブルパンチだったから「こりゃ参った」という感じでした。

仮入部のときに、もう少し良く観察して、ありのままの部の実態を知っておけばと思いましたね。

B(硬式テニス)いじめはやはり、つきものなんですかね。いじめと言えるか分かりませんが、なんとなく避けられていたような気がします。

―辞めようとは思わなかったんでしょうか?

B(硬式テニス)そうですね。もう辞めたいと何度も思いましたが、中1から続けてきたことなので高2の夏で辞める決断をするにも、簡単なものではありませんでした。

A(新聞部)避けられていて、心身の苦痛を感じられたのなら、それは、もう「いじめ」なんです。「いじめ防止対策推進法」という法律ではっきりと定義されているんですよ。

B(硬式テニス)そうですよね!

言ってたことと違うんだけど!!

―仮入部で部活の実態を知っておくのは大事ですが、言われていたことと実際が違う……なんてことはありましたか?

C(演劇部)仮入部のときは、「毎週月水金、16時~18時、大会前は毎日」と聞いていましたが、実際は(大会前に)毎日19時までやったり、時に土日もあったりと、「あれ? 思っていたよりしんどいような……?」とは思いました。

B(硬式テニス)「あるある」ですね…私も思ったより練習がキツかったです(笑)。でもやりがいはありました(笑) 

A(新聞部)仮入部のときに伝えられた条件よりハードだったんですね。私も蓋を開ければ、土日の残業が当たり前になっていました。地域に取材に行くと、自分の時間がなくなってしまうんです。もちろん、貴重な経験はできますが。

C(演劇部)そうですね。部の仲間ややりがいが支えになって「なんとか3年間やってこれたな」という感じです。

A(新聞部)新入生の皆さんに知っておいてほしいのは、自分が少しでも「苦しい。イヤだ!」と感じたら、いじめと認定されるので、遠慮なく声を上げてもよいということです。

B(硬式テニス)その通りですね!