全国大会に出場する力を持つ部活の部長は、どのように部をまとめ、部員を導いているのでしょうか。中高一貫校の強豪合唱部で、中学・高校の2度にわたり部長を務め、高3の夏に全国大会に出場したりんりんさん(仮名、現在大学1年)に、当時を振り返ってもらい、部長としてどう成長していったのか教えてもらいました。
嫌われるかもしれない恐怖と闘って
―中高ずっと合唱部で活動されていたんですか?
中1から高3まで6年間、合唱部で活動していました。人数は合わせて30人くらいで、練習も中学生、高校生合同で行います。それぞれに部長がいて、私は中3、高2のときに部長になりました。
―部長になったきっかけは?
中学のときは部員からの投票で選ばれました。でも、当時私は人に注意をしたり、厳しく言ったりすることが苦手だったんです。先輩の話をフラフラしながら聞く後輩や、着替えるべきときに着替えていない後輩に注意できなくて……。うまく部をまとめられず、副部長や同期との空気が悪くなったこともありました。
―部長としてどうふるまっていいか、分からなくなっていたんですね。
はい。そんな時、副部長ともう一人の同期が話し合いの場を設けてくれました。3人で腹を割って話して、本音を言い合ったんです。
私が「部員から嫌われるのが怖くて注意ができない」と話すと、同期は「みんなの投票で選ばれたんだから、あなたの言葉なら部員は聞くよ」と言ってくれて、不安を取り除いてくれました。
注意するときは「理由」も伝える
―高校でも部長になった理由を教えてください。
中学時代にうまく部をまとめられなかった経験があったので、高校ではリベンジしようと立候補しました。心掛けたのは「仲のいい部活」でもメリハリをつけること。仲のいい空気は壊さず、とはいえ仲良くなりすぎて和が乱れることがないように意識していました。
―具体的にどう行動しましたか?
部活のグループLINEで注意をするときは、ただ注意するだけでなく、「こうすればもっと良くなると思う」と理由や背景を添えて伝えました。直接注意するときは重くなりすぎず、軽くなりすぎずのバランスを意識。一言で簡潔に伝えるようにしていました。伝えたらさっと切り替え、いつも通りの雰囲気に戻します。
ダメと言える自分になれた
―2度部長を経験して、成長した部分はありますか?
「ダメなことはダメ」と言えるようになりました。人に注意をするのは緊張するし、高校生になってからも「嫌われたらどうしよう」という思いが消えたわけではありません。でも、同期に相談するなどして、部長として部をまとめるために必要なことは何か、考えられるようになったと思います。