落ちた化粧、涙、かみしめた唇。この女性に何があったのでしょうか…?
「悔」と名付けられたこの写真作品は、熊野寧音さん(岡山・高梁城南高校3年)が手がけました。文化部の全国大会の一つである全国高校総合文化祭2020こうち総文の写真部門に出展しました。
女性は強く、美しい 心の内側の悔しさを作品に込め
―思わず見入るような女性の表情が印象的です。作品のテーマを教えてください。
テーマは「女性が持つ強さ」です。これまでの女性のイメージを払拭するような迫力のある写真を目指しました。
顔に当てられた右手は頭をかきむしる仕草を表しています。「悔」と一言にしたのも漢字一文字の方がインパクトも出るし、心の内側にある悔しさ、憎さ、怒りがこの「悔」に詰まっているような感覚を出したかったからです。
―悔しさを写真で表現したのですね。
この悔しさ、憎さ、怒りは自分に対してなのか、またはセクハラ、女性差別問題がニュースで取り上げられる世間に対してなのか、親しい友人、親、恋人に向けられたものなのか……写真を見た人が自分と重ね合わせてほしいので、自分の中では考えていません。
悔しさは精神的成長の糧となり、強さにもなります。未だに女性の問題が残る現代ですが、女性は強く、美しいということを写真で表現しました。
霧吹きで涙や汗を表現
―こだわったポイントを教えてください。
表情です。どういう気持ちでどのような表情をしたらいいのか、事前にモデルを依頼した友人と話し合いました。題名の通り「悔しい」という表情を強く意識しました。
顔には化粧を施しています。マスカラやアイシャドウ、リップをわざとはみ出させてみたり、霧吹きで顔や髪を濡らして涙や汗を表現したりしました。
―撮影にあたり苦労した点は?
アングルです。最初に写真を撮るとき、全く違う別のアングルで撮影をしていましたが上手く写真が撮れず、試行錯誤しながら最終的にこの角度にしました。
インパクトを重視し、通りかかった人が「おっ」とびっくりしてしまうような写真を目指しましたが、そのインパクトのある構造を作ることがとても難しかったです。
モデルは演者志望、話し合って撮影
―制作途中で印象に残っているエピソードを教えてください。
事前にモデルの子と話し合いをしたことです。今回の撮影は、撮影前にこんな気持ちでこのような表情をしてくれと指示をしました。
彼女は演者を目指しているため、いつも想像以上の表情を作ってくれます。彼女と話し合い、時に彼女の方からも意見を出し、2人で試行錯誤しながら撮影を行ったことがとても印象に残っています。
―よい作品を作るためのコツは?
カメラの機能を理解できていなくても、とりあえずいろんな写真を撮って勉強することです。これは私がお世話になった写真館の方に教えていただきました。
私はカメラ自体にはあまり詳しくありませんが、いろんな方法を試してみて思い切り楽しむと、より写真が好きになると思います。