新型コロナウイルスの感染が収まらない中、受験シーズンに入りました。受験生は、風邪・インフルエンザ対策も含めた感染予防に気をつかっていることでしょう。もし風邪のような症状が出た場合、それが本当に風邪なのか、それともインフルか、コロナの可能性があるのか見分ける方法があるのでしょうか。また、どのタイミングで受診するべきかも含め、内科医の建部雄氏先生に教えてもらいました。
新型コロナは無症状から重症まで幅広い、潜伏期間は5~6日が多く
新型コロナウイルス感染症が出現するまでは、インフルエンザウイルス感染症の基本症状は風邪症状ではあるものの、高熱傾向とそれに伴う倦怠感・各関節痛・筋肉痛の持続が特徴として多い印象がありました。これに対して、一般的な風邪症状は、37~38度台の発熱、その他の鼻水・くしゃみ・咳・喉の痛みといった症状がその特徴として多いようでした。
一方、新型コロナウイルス感染症の症状は、インフルエンザウイルス感染症+一般的な風邪症状の複合型を基本とします。「無症状~軽症~重症」と幅があり、高齢者や基礎疾患(高血圧、糖尿病、心血管疾患、慢性呼吸疾患、癌など)がある人を中心に、程度の差はあっても何%かの患者さんは呼吸困難に至り、最悪の場合、死亡します。潜伏期間は5~6日が最多。最短で1日・最長で14日です。小児が感染することは比較的稀であり、感染しても症状は軽度です。
重症患者では、最初に症状がみられてから呼吸困難になるまでは平均約5日であり、その約2日後に入院が必要となることが多いことが知られています。
一定の頻度で味覚障害・嗅覚障害を呈することがあり、「味噌汁の味が変」「コーラの味がいつもより薄いというか、変わり種のものを飲んでいる気がする」などの訴えも聞かれます。
症状だけで判別は難しい、「風邪か?」と思ったらすぐ受診を
このように三者の症状は似通っており、「発症してすぐの症状だけ」では判別がまずつきません。新型コロナウイルス感染症は無症状者・軽症者も存在します。少なくとも今しばらくは「風邪かな?」と思う症状があったらすぐに医療機関を受診し、少なくとも臨時応急処方と発熱の状態によってはインフルエンザ抗原迅速検査を受けておくのがよいでしょう。
医療法人社団聖仁会横浜甦生病院勤務。総合内科・一般内科が専門。京都市生まれ。2001年、昭和大学医学部卒業。大規模総合病院の救急科で経験を積み、急性期病院・クリニックの勤務を経て現職。