新型コロナウイルスの感染が収まらない中、受験シーズンに入りました。受験生は、風邪・インフルエンザ対策も含めた感染予防に気をつかっていることでしょう。高校生の中では、人が多く集まる受験会場で感染しないか不安な思いを抱いている人もいると思います。受験生が受験会場で感染しないようにするには何を心がければよいのか、内科医の建部雄氏先生に教えてもらいました。

受験生の皆さんは、受験対策の勉強をするだけでも大変なのに、新型コロナウイルス感染症予防の努力もしなければなりません。そのため、受験生の皆さんは日頃からマスクを着用して、手洗いや手指消毒を徹底されていると思います。

新型コロナは無症状感染者もいる

しかし例年、受験生の中には、多少の風邪症状があっても(発熱していても)試験に臨む人が、一定数は存在していてもおかしくありません。

また新型コロナウイルス感染症については、その無症状感染者が受験生として参加している可能性も高く、知らぬ間に自分自身が無症状感染者として周囲にウイルスを撒き散らしている状況すらありえるため、受験生全員がマスクを着用して試験に臨むのが適切と考えます。

マスクをして感染予防を

実際の試験会場における座席間隔は例年以上に広くとられている可能性が高いと考えます。よって、飛沫感染を防ぎ得る距離が取られているので、その点では感染予防がなされています。

休み時間・昼食時の会話は避ける

受験会場で受験生が新型コロナウイルスに感染するとしたら次の3つ。

1つ目は、同じ学校や予備校の受験生仲間同士での休み時間中の「答え合わせ問答」。短時間で数人が集まることで対人距離が狭まり、飛沫粒子を浴びてしまう可能性が高いと言えます。

またこれには、自分の回答が他の受験生仲間と異なり、不正解だったことを知ってメンタル的に落ち込むことを避ける意味合いも含めて止めておきましょう。

2つ目は昼食時。このときは受験生全員がマスクを取り外します。このときは確実に無防備となります。

そのため、同じ学校や予備校の受験生仲間同士であっても、昼食時にお互いに隣あったり、向かい合ったりしてランチ会話をすることを避けてください。

知ってる人が会場にいても一人でお昼を食べるようにして

試験会場の自身の座席で一人で食事をとるか、ヒトの少ない外のベンチ等で一人で昼食を摂り、食後はすぐにマスクを着用します。もちろん、念のため食事の前後は手洗い・手指消毒も実行します。

トイレでしっかり手洗いを

3つ目は短い休憩時間に混みあうトイレ。

短い休憩時間に混みあうトイレという場所が密集環境となり飛沫感染や接触感染も起こりやすく最も感染するリスクが高いと推測しています。

しかし、トイレを利用しないで受験が済むはずもありません。短時間でトイレ利用を迫られるため、いい加減な手洗いになったり備え付けの手指洗浄剤が品切れ状態になったりすることもあります。

もしそんなことになってしまったら、手持ちの個人用の持ち運び用アルコール消毒液を利用して手指消毒を追加してください。

 
 
 

 

建部雄氏(たてべ・たけし)
医療法人社団聖仁会横浜甦生病院勤務。総合内科・一般内科が専門。京都市生まれ。2001年、昭和大学医学部卒業。大規模総合病院の救急科で経験を積み、急性期病院・クリニックの勤務を経て現職。