新型コロナウイルスの感染が収まらない中、受験シーズンに入りました。受験生は、風邪・インフルエンザ対策も含めた感染予防に気をつかっていることでしょう。受験生が万全の体調で本番に挑むには、一緒に暮らす家族の協力は必要不可欠です。見守る家族はどんなことを心がければよいのか、内科医の建部雄氏先生に教えてもらいました。

帰宅後は服の交換・洗濯→難しい物は2~3時間外へ

受験生のご家族は、受験生の健康状態・病気の罹患リスクに頭を悩ませていることと拝察します。一般に、多くの受験生は「最後の追い込み」とばかりに、睡眠時間を削って勉強に打ち込み、ある程度は健康を犠牲にしています。

ご家族ができること・気にすることとしては、まずは日中に試験が行われることを考慮して、少なくとも夜間に一定時間(6~8時間)の睡眠時間確保してもらうよう促すようにしましょう。

外出から受験生本人が戻ってきた場合、手指洗浄・アルコール消毒はもとより、外出時間が6時間以上ならばハンカチを含む着衣の交換・洗濯を行い、可能ならば入浴を勧めてください。また、頻回の洗濯が難しいコート類などは2、3時間、外干しして風に晒すか、換気のよい部屋に干すようにしておきましょう。

洗えないコートは外に干そう

 

食事は、消化の良い、加熱調理されたものを中心に栄養バランスよく摂ってもらうようにしましょう。朝食は必ず摂ることとし、食後の血糖値上昇による眠気の影響を避けるため、試験の2時間以上前には終えておきましょう。

室温の下限は18度、湿度は40%以上に

体温調節機能も鈍っていて感染症に陥りやすいので、急激な室温・湿度の差を作らない環境作りが大切です。就寝中であっても、WHO(世界保健機関)が推奨している室温18度以上、湿度40%以上を目標とします。就寝時に暖房をすべてオフにすると、急激に低温・乾燥の環境になってしまうので、避けましょう。

また、こまめな換気の目的で室温や湿度を大幅に下げる窓の全開放を繰り返すようなことは止め、常時窓を少し開けて徐々に換気しながら暖房器具を稼働させ一定の室温を維持するのが効果的です。

加湿器を上手に使って

 

窓を開けることに抵抗がある場合は、空気清浄機の活用も有効です。加湿器も併用し、湿度を適切な値に維持するようにしましょう。ちなみにインフルエンザウイルスはその不活性化率が高い相対湿度は40~60%とされているので、湿度についてはこの数値が目安となります。

室温・湿度環境の一定化以外は受験生個人の生活スタイルもあるので、あくまでも参考としていただければと思います。

 
 
 

 

建部雄氏(たてべ・たけし)
医療法人社団聖仁会横浜甦生病院勤務。総合内科・一般内科が専門。京都市生まれ。2001年、昭和大学医学部卒業。大規模総合病院の救急科で経験を積み、急性期病院・クリニックの勤務を経て現職。