港北高校(神奈川)写真部では、毎年の文化祭で行っている恒例の展示として、モザイクアートを発表しています。今年は美しい紅葉と富士山をテーマに、約40日かけて大作を作りました。写真部部長の雨宮裕貴君(3年)にどうやって作ったのか話を聞きました。

港北高校写真部作品「綾錦と富士山」

1000枚の写真で一枚の富士山を作る

―この富士山の写真は、写真を張り付けたモザイクアートなんですね。写真は何枚使っているんですか?

使った写真の枚数は1000枚です。8月11日から9月24日、32人の部員全員で取り組みました。大きさは縦1.8メートル×横3.0メートルです。

―作品の制作過程について教えてください。

まずはテーマの候補を決めるため、意見を集めます。各自候補を持ち寄り、投票で決定します。題材が決まったら、モザイクアートに使う写真データを集めていきます。それから、パソコンのソフトを使いモザイクアート全体のデータを作るんです。

そのデータの印刷を外部の業者の人に依頼して、送られてきた写真を1枚ずつボードに貼りつけていきます。

モザイクアートは、写真部が毎年の文化祭で行っている恒例展示の一つです。今年は新型コロナウイルスの影響で準備期間が短くなってしまいます。それでも例年通りのモザイクアート作成をするのか、話し合ったところ、答えは「全員賛成」。今年も頑張ることになりました。

コロナ禍で活動制限…みんなと居られる貴重な時間

―なぜ富士山の写真を選んだのでしょうか?

誰もが一目見て「これだ!」とわかるもの。そして、モザイクにしたとき色がつぶれないように、被写体の造形が複雑でないものを条件に決めました。

―作るうえで大変だったことは何でしょうか?

特に苦労したことは、新型コロナウイルスの影響で部活動が制限されている中で、作品を完成させることでした。

例年は4~9月までの長い期間をかけて作成しましたが、今年は7~9月という短い期間で作業を進める必要があったんです。部長の私は、同級生や他の部員、卒業生の先輩にもアドバイスをもらい、短期間での作業計画を立てていきました。

1000枚の写真を貼り合わせ1つの作品を作る

―作るうえで楽しかったことを教えてください。

コロナ禍で部としての活動が制限され、毎年恒例の夏休みの撮影会や新入部員の歓迎会が中止となってしまって……。今年度で全部員がそろう活動は、今回の文化祭のみとなってしまいました。

その中で、部員同士が協力し合い、一つの作品の完成を目指したことで、親睦や信頼感が深まりましたし、なにより楽しく作業を進めることができました。

文化祭前日なのに未完成、チームワークで乗り切った

―こだわったり工夫したりしたポイントはどこですか?

最もこだわったのは、モザイクアートの題材決めです。

富士山以外には京都の渡月橋、沖縄の首里城がありました。渡月橋はモザイクアートにすると似た色が多く、輪郭がぼやける欠点がありました。首里城は昨年の作品が中華街の牌桜門で、イメージが似ていたことで選ばれませんでした。

―制作過程での思い出はありますか?

特に印象に残っているのは、部員のチームワークのすばらしさを感じたことです。

初めの計画では、作品は文化祭1週間前に完成予定でした。ですが、いくつかのトラブルで予定が大幅に遅れ、文化祭前日の朝の時点で未完成でした。

そのとき2年生の部員が中心となって、作業を強力に進めてくれたため、公開に間に合いました!

部活データ

1971年創部。部員数は32人(3年生7人、2年生13人、1年生12人)。週1日程度活動。活動内容は、年数回の展覧会出品、校内行事(体育祭・球技大会)の撮影。活動場所は3階コンピューター教室