「〇〇人だから」「足が速そう」「陽気そう」。無意識のうちに人種でイメージを作り、相手に接すると、それは「無意識に差別している」ことになります。10月に高校生記者が「無意識の差別」について学ぶオンラインセミナー(AFS日本協会主催)に参加しました。(高校生記者・高槻官汰=3年)

肌の色だけで「足が速そう」…それは無意識の差別かも

セミナーでは初めに「マイクロアグレッション」について学びました。あまり聞きなれない単語です。日本語に訳すと「無意識の差別」となります。

見た目だけで無意識に差別してない?

マイクロアグレッションとは、相手を差別して傷つけようという悪意はないものの、結果的に相手の心を傷つけてしまう言動です。

例えば、肌の色や国籍だけで「足が速そう」とか「陽気な性格を持っていそう」などと判断して、それを口に出して相手に伝えることなどです。「足が速そう」などと言われてうれしい人がいることは事実ですが、逆に不快感を持つ人もいることを忘れてはなりません。

悪気がない発言が相手を傷つけている

マイクロアグレッションは、異なる人種や文化、性別に対する無意識の先入観や偏見、理解不足が原因で起こります。

私たちは、知らず知らずのうちに、○○人といえば「スポーツができる」などの固定観念を持っていることがあります。そうした固定観念は、日常生活で誰もが持ちうるものです。日本人からすると「悪気はない」発言が、外国人からすると「差別」と見なされることもあるのです。

人種で固定概念を持って接するのは良くない(写真はイメージ)

重要なのは、日々のコミュニケーションの中で、その言動が「差別」にあたらないかと常に自分に問いかけること、相手の国や文化を知ろうと努力することです。

話しかけようとしたら避けられて

次に、日本に長年住んでいる、元AFS国際本部職員のマーシャル・アダムスさんから、日常生活の中で感じたマイクロアグレッションについて、体験談を聞きました。

券売機の使い方を聞きたかったけれど

アダムスさんは、以前、駅の券売機の使い方を聞くため、日本人に話しかけようとしました。近づくとすぐに、その人はアダムスさんを避けるかのようなポーズを取りました。

「おそらくその人は英語が苦手で、何か言われても分からないかもしれないという感情を持っていたため、私を避けたのだと思います」と振り返りました。

日本語で話しているのに「Don’t speak English」

アダムスさんが日本語で話しているにもかかわらず、日本人から『Don’t speak English!』と言われたこともあったそうです。

英語が話せないからと避けられて…(写真はイメージ)

「皆さんがもし外国人に話しかけられたら、英語ができなくてもいいので、落ち着いて、まずはその人の話に耳を傾けてください。話を聞いた上で、何かしらの反応をしてください」と語っていました。

外国人との会話は、「共通点をみつける」つもりで

ほかにも、「おはようございます」と言っただけで「日本語がお上手ですね」と言われたこともあったそうです。

外国人だから日本語ができないなどの前提をベースとした会話は、気持ちがいいものではないと言います。「人との違いだけを指摘したり、強調されたりするのも気持ちいいことではありません。異なる文化を持つ人との会話の中では、相手と共通する点を見つけるという視点が大切です」と、外国の方との会話の際に心がけるべきことを語りました。

身近なことから会話してみて

参加者からの「外国の方と自分の共通点を見つけるという視点は、どうしたら身につくか」という質問には、「あなたの周りにいる人への話し方と同じようにすればいいのです。初対面でいきなり相手のアイデンティティに迫るような話をするのは、適切とは言えません。まずは今日の天気などの、身近なことから会話を始めましょう」と答えられました。

最後に日本の中高生に向けて、「皆さんが異文化学習をする機会として、SNSは大いに活用できます。○○人というくくりで相手を見ずに、きちんと個人として相手を認めてコミュニケーションをとることが大切です」とメッセージを送りました。