オススメの小説を高校生記者のあっかーさんに紹介してもらいました。

人を変えるのは人との出会いだ

『ハリネズミは月を見上げる』あさのあつこ著(新潮社、1450円=税抜)

高校生に自信を持っておすすめしたい小説のひとつ、『ハリネズミは月を見上げる』。一人の同級生との出会いによって変わっていく女子高校生のお話です。

『ハリネズミは月を見上げる』あさのあつこ著(新潮社、1450円=税抜)

痴漢から救ってくれたのは

女子校に通う鈴美は、登校中の電車内で痴漢にあってしまいます。声を上げるも、男に逆に怒鳴り返されてしまい、怖くなって謝ろうとします。そのとき鈴美を助けたのが、同級生の比呂でした。

引っ込み思案な鈴美と、凛として意見を伝えられる比呂。性格が正反対の2人ですが、少しずつ仲よくなっていきます。お互いが抱える家族の問題も、見えてきます。心の交流を通して、鈴美と比呂、そして周囲の大人たちも変わっていきます。

つらいときにどう行動する?

この本を読んで、つらいことがあったとき「自分がどう行動するか」を考えさせられました。周りの人に助けを求めることができるか、壊れてしまう前に逃げることができるか、それが大切だと感じました。

比呂のお姉さんは、いわゆるブラック企業でパワハラに遭い、引きこもりの生活を余儀なくされてしまいます。人間は周りの環境で、いい方向にも悪い方向にも簡単に変わります。いい人と、いい環境で出会えればいいけれど…関わりたくない人とも出会い、時にはつらい環境に身を置かねばならないことがあるのも事実です。

助けを求める声はきちんと聞く

比呂のお姉さんは、上司のパワハラによって追い詰められているにもかかわらず、誰にも助けを求めることができませんでした。助けを求めたり逃げたりすることは、簡単なことのようで、とてつもなく勇気がいることです。

だから私は、周りの人が勇気を出して助けを求めてくれたら、絶対にその声をきちんと聞き、自分のできる範囲で助けたいと強く思いました。

続きが気になってしかたがない

この本は続きが気になって仕方がなくて、自分でもびっくりするほど興味が薄れませんでした。

高校1年生の今、この作品と出会えて本当に良かったと思いました。鈴美は、比呂との交流の中で強くなっていきます。私も鈴美のように、いい方向に変われるような気がします。学校での人間関係が複雑になっているこの時代、この本はぜひ読んでいただきたいです!

本を読んだあと、ぜひカバーを外してみてください。(高校生記者・あっかー=1年)