山崎永愛(えな)さん(宮城・迫桜高校3年)の作品「覗く」を紹介します。カラフルなビニールテープが張り巡らされた向こうから覗いている「目」を撮影し、文化部の全国大会である全国高校総合文化祭2020の写真部門で奨励賞を受賞しました。どのように撮影したのかを聞きました。

「覗く」(第44回全国高等学校総合文化祭 2020こうち総文 写真部門奨励賞)

見る人によって見方が変わる

―鮮やかなテープの中に、はっとする眼差しの目が印象的です。どんな思いを込めたんですか?

この作品は「必ず見ている人がいるよ」という思いで作りました。また、さまざまな色のテープの中から目が覗いていたら面白いと思ったんです。

―カラフルな色彩にドキッとします。

さまざまな色のテープを使うことで、作品を見た人が「良い意味」でも「悪い意味」でも捉えられるようにしました。良い意味では「見守ってくれている人が必ずいる」、悪い意味では「誰かに見られている」となるでしょうか。

見る人によって見え方が変わり、さまざまなものを感じ取ってもらえたらという思いで仕上げた作品です。

―こだわったり工夫したりしたポイントは?

覗く目を大きくするためにメイクをしたことです。白目を大きく見せることで、不気味な印象にもなると思います。このメイクをするために何度もやり直したり、調べたりということを繰り返しました。

モデルは双子の妹

―難しかった点、苦労した点は?

テープの配置が難しかったです。貼り直したり、色の位置を変えたりしました。貼ったテープが取れてしまったり、破れたりすることが多かったです。

―制作途中で印象に残っているエピソードは?

この写真は1人で作った作品ではありません。友人には、テープの位置を決めて貼るところから手伝ってもらいました。そして、顧問の先生にはさまざまなアドバイスをいただきました。悩んでシャッターを切り続けながら、多くの方に支えていただいたことを感謝しています。

モデルは、同じ写真部にいる私の双子の妹です。私の作品では妹がモデルになり、妹の作品では私がモデルとなるということもしばしばです。18年間も一緒なので、全てを説明しなくても分かってくれるというところがよかったです。

―よい作品を作るためのコツを教えてください

私は第一に「想像」することが大事だと思っています。そのために、いろんなジャンルの芸術に触れるようにしています。そして、想像したことを頭に持ちながら、何度もシャッターを切ることが上達への道ではないかと考えています。描いた像がシャッターを切る中で成長していく実感は心躍るものになっています。

作者の山崎永愛(えな)さん