大学受験の勉強で暗記は避けられません。志望大学に現役合格する人はどのようにして暗記をしているのか。駿台予備学校京都校サブマネージャーの鳥井英さんに聞きました。

駿台が教える成績UP術7「暗記のコツ」

今回は合格する人はどのように暗記をしているのかをお伝えします。

その前に、まずは合格する人の学習の実態を知っておきましょう。

難関大合格者は積み重ねを怠らない

2021年度入試からスタートする大学入学共通テストで、国公立大は文系は5教科8科目、理系は5教科7科目を課す大学が一般的です。時間割と配点を確認しましょう。

 

こう見ると莫大な学習量が必要なように感じますね。と言っても、求められているのは「高校の学習内容の基本」をしっかり理解し運用していく力です。

ちなみに、難関大合格者は「学力」(=「読書経験」「思考経験」「語彙力」「漢字力」「数学的論理思考力)などの総体的な力を中学、高校生活の中の早い段階で身に付けています。「学力」は短期間に身につくものではなく、積み重ねによって身に付くものです。

そういう意味では、学習を早期からスタートする事は非常に大切になります。

時期によってやるべきことがある

駿台現役生クラスでも高1から通学している方が多いです。よく学習計画や学習方法についてどうすればよいのかと相談があります。

 

図は、高1~高3に向けて段階的に納得の進路実現に向けて意識して実践してほしいことです。高1~2で基礎学力をつけ、高2で学習法の確立・目標の設定を行い、高2~3で文理・志望に合わせた学習、高3で実践力を養っていきます。

高1、2生で学習する内容は入試の基礎です。科目に隔たりなく学習して、苦手分野や不得意科目を作らない事が重要になってきます。高2から高3への流れは大まかに把握しておいてください。

睡眠はしっかり、高1は学校・塾除き2時間学習

合格者のほとんどが学習計画、学習方法など工夫して実践しています。

 

起床時間と就寝時間を一定にしたり、睡眠時間を確保するなど、規則正しい生活と計画性のある学習が大事なのです。

 

学校行事、部活動との両立のために、細かい学習計画を立て、時間を有効活用して、何度も反復して積み重ねています。

生活面では、高1生は予備学校、塾の学習時間を除いて「2時間」は学習時間を確保している人が多いです。そして睡眠時間も「6時間から7時間」しっかり確保しています。

集中力向上と知識定着を向上させるためには、ある一定の睡眠時間が必要だということ事が科学的にも実証されています。夜遅くまで勉強するのは非効率ですし、入試も朝から始まります。基本的な事ですが、早寝早起、早朝学習をお勧めします。

ちょっとした時間に暗記を繰り返そう

よく生徒から「時間がない」という相談があります。まとまった時間が取れない場合は、10分、15分、30分と短時間でも学習時間を捻出していくことも大切です。

交通機関の移動時間や、授業の休憩時間等に、「英単語・古文単語などを暗記する」「数学の公式を覚える」などがあげられます。

暗記については、知識定着する際には、くり返す事が重要であり、毎日の積み重ね(短期記憶)が長期記憶になり、忘れにくい記憶となります。

脳科学上、睡眠の間に記憶の定着がなされるので、暗記は寝る前に行うと効果が上がりやすいです。

合格する人の暗記術を理解しよう

次にクラスリーダー(駿台出身の現役大学生スタッフ)の暗記術の一例を紹介します。

 

◆その1 暗記と理解をしっかり区別

暗記する箇所と理解する箇所の区別をしっかり行います。丸暗記ばかりだと情報量が多すぎて非効率です。全部理解しようとしても説明できない事が多く、限界があります。

丸暗記しているところで「理解」に変えられるところがないか見直してみましょう。

◆その2 自分に合う暗記方法を見つけ出す

効率重視はもちろん大事ですが、覚えようとする努力に時間を費やす事も必要です。Tyr&Errorを繰り返さないと、どういった暗記方法が自分に適しているのかは見えてきません。

学習した内容を小テスト、学校の定期考査や模擬試験などで効果測定することで定着度の確認をする事も大切です。

◆その3 エピソード記憶ができるか

「エピソード記憶」「五感(視覚、聴覚、話す)などによる記憶」ができるか試しましょう。「XXという背景があったため、〇〇が△△した」という風に暗記する方法です。

背景や原因を覚えることは手間のように思われますが、このほうが長く記憶に残りやすいです。2つの事柄を結びつける、背景や原因といった接続的知識も同時に暗記すると覚えやすくなります。

◆その4 何度も見直す、疑問や興味を持つ

問題を解いて覚えてなかった分野の該当するノートを見直す際、何度も目にする事で、物事のつながりや科目間での関連がある事に気が付きます。例えば……

例)世界史の授業で ダイナマイトが発明された事を学ぶ。

ダイナマイトの原料の物質・製造方法は何なのか? 疑問・興味を持つ事も大切であり、「なぜ?」という意識で授業に臨むと、化学の内容である事に気がつきます。物事のつながり、エピソードが加わることで格段に理解が深まります。

ただ、このレベルに至るまでには、ある程度暗記してくり返す期間も必要です。短期記憶のくり返しが長期記憶となり、忘却しにくくなります。九九を毎日、口に出して覚えた事が良い例です。

◆その5 語源や語呂合わせを上手に活用

英単語の暗記については、語源や語呂合わせで丸暗記を打破しましょう。丸暗記では限界があり、どうしても覚えるのに作業になり、理解に努めなくなります。

例えば、revolution[革命]はre[逆に]+ vol[回る]から「逆回転して、権力や組織をひっくり返す」→革命と覚えると記憶に残りやすいですよね。

◆その6 数学で必要な最低限の暗記と思考力の使い方を理解

数学における暗記については、問題を1問解くとき、「思考力」を使う場面と、「記憶力」を使う場面があります。この2つの力は常にリンクしており、どちらが欠けても問題を解くことはできません。

「記憶力」は、普段の勉強の中でふれる教科書の例題や、知っていなければどうしようもない公式など、「最低限の基礎的内容を暗記しているかどうか」をさします。

初見の問題だと多少あれこれ考える必要がありますが、2回目以降は1回目で学んだことをたどってある程度正解することができます。3回目ならほぼ覚えていることをそのまま書くだけの作業になるでしょう。

応用問題の場合は、実際に解くときは「思考力」を使って、自分の持っているストックから何が必要なのかを考えて選択します。いくつかのストックから必要なものを選択して組み合わせる力が必要です。

つまり「思考力」の根幹を成すのが、数学における暗記であり、記憶力になるので、やはり基本事項の理解・習得は大事です。

「まだ解けない」=「苦手」ではありません。解説や参考書を見て解き方を知ること、そしてそれをつかいこなせるように覚えてアウトプット(演習)することが大切になります。インプットする時間とアウトプットする時間を1週間の学習計画に組込んでおくと良いでしょう。

自分に合った学習方法を

上記は色々ある学習方法の一部です。皆さんにあった学習方法で高校の授業の理解の徹底、定期考査に向けて、そして、大学受験に向けての学力向上の一助になればと思います。

 
 

鳥井英さん

 とりい・ひで 駿台予備学校京都校 サブマネージャー。

 

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