オススメの小説を高校生記者の朝倉七緒さんに紹介してもらいました。

「本気で好きにならない」恋人たちの行方

今夜、世界からこの恋が消えても』一条岬著(メディアワークス文庫、630円=税抜)

この小説は、主人公・神谷透と、1日ごとに記憶を失う日野真織との二度と戻れない恋の物語です。

『今夜、世界からこの恋が消えても』一条岬著(メディアワークス文庫、630円=税抜)

私が読んで最初に気になったのは、真織が透と付き合う前に出した3つの条件です。

その条件は「一つ目、放課後になるまではお互い話しかけないこと。二つ目、連絡のやり取りは出来るだけ簡潔にすること。最後に三つ目、私のことを本気で好きにならないこと」。

この3つを条件に、お互い恋人として付き合い始めます。「なぜこんな条件を出したのだろう?」と思いながら本文を読んでいくうちに、だんだんと物語の中に引き込まれていき、あっという間に最後まで読み、涙を流していたのです。

切ないだけじゃない

今までたくさんの小説を読んできました。きっと今回も同じように物語は進んで行くのだろうと思っていたのですが、この小説は全く違いました。思っている以上の展開が数多く起こります。ただ切ないだけの物語ではありません。相手を思いやる気持ちに涙が流れました。

思わぬ展開と驚きがこの物語には詰まっています。(高校生記者・朝倉七緒=2年)