新型コロナウイルスの影響で、日本では全国的に小中高の休校が実施され、一部の学校ではオンライン授業が実施されました。海外でも、感染拡大を避けるため、休校やオンライン授業などが行われました。海外の高校生たちは、この期間どのように授業を受けていたのでしょうか。高校生新聞の高校生記者たちがインターネットを使って各国の高校生に話を聞きました。(構成・越沢琴奈)
休校・自粛期間中の授業方法は?
日本では休校期間中、学校から配られたプリントで自習する学校があった一方で、Zoomなどのビデオ会議ツールを使用したライブ授業や、録画を生徒が視聴するオンデマンド授業が行われる学校もありました。
海外の高校でも同じようなライブ授業や、テレビ放送・インターネット配信を使用したオンデマンド授業が行われていました。
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Zoomで授業
指定された時間にZoomというビデオ会議アプリを使い、先生と生徒たちが画面越しに対面し、授業が行われました。(アメリカ・3年)
SNSのLINE機能で
「VK」と呼ばれるロシアのSNSのLIVE機能を使って、授業が行われました。先生は普段の授業と同じく、黒板に問題などを書きます。生徒は質問があるとコメントを書き込み、先生が答えます。LIVE授業はSNSに保存され、寝坊した人などが見られるようになっていました。(ロシア・3年)
普段からパソコン使った授業をしてた
普段からパソコンを使って授業が行われ、Managebacというシステムを通じてレポート提出を行っていました。自宅でのオンライン学習になっても、同様のシステム上で課題が出されています。また、Zoomでオンライン授業も実施されています。(アラブ首長国連邦・3年)
テレビで授業放送
タシケント州では、全ての小中高生に向けてテレビで授業動画が放送されました。(ウズベキスタン・2年)
YouTubeで授業
YouTubeなどで配信された授業の動画を見て、学習したりしました。EBS(韓国教育放送公社)でのオンライン授業で、生徒の受講の状態を確認する先生もいました。(韓国・3年)
一方で、オンライン授業は行われず、メールやアプリを通して先生から配られた課題を提出する、自主学習形式も見られました。
先生とメールでやり取り
オンライン授業というよりも、先生とのEメールのやり取りが多かったです。先生から1週間ごとに課題が送られてきて、家で、一人で取り組みました。課題のためにパソコンを使って情報を集めるなどしました。(ドイツ・2年)
自習がメイン
私の学校では、Zoomなどを使用した授業はほとんどなく、自主学習がメインでした。指定されたウェブサイトで新しいテーマを学習し、そのサイトにある問題を解きました。Zoomを利用した授業は、自習で分からなかった部分を質問するためにありました。(ベルギー・1年)
オンライン授業のメリットは?
オンライン授業や、自宅から課題を提出することによるメリットとして、自分の時間を作れるという意見が多く寄せられました。場所や時間の制約が減ったことで、自分のペースで勉強できるだけでなく、睡眠不足解消や家族の時間を増やすこともできたようです。
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移動時間がなくなった
オンライン授業でよかった点は、移動時間がなく、その時間を勉強に充てられることです。(アラブ首長国連邦・3年)
自分のペースで学習できる
自分のペースで学習ができます。教室での授業では、クラスメートより早く理解しても先には進めませんし、逆に分からないところがあっても、授業が先に進んでしまいます。(ベルギー・1年)
寝不足が解消された
自由時間が増えたので、睡眠時間が十分に取れて寝不足になることがなくなり、気分もよくなりました。(ロシア・3年)
家族との時間が増えた
いつでもどこでも宿題ができるところが、オンライン授業のいい点だと思います。宿題で出された内容を考える時間も増えました。趣味の時間や家族と過ごす時間が多くなったこともよかった点です。(ドイツ・3年)
自分の時間が増えた分、スケジュール管理が難しく…
このようなオンライン授業によるメリットもある反面、デメリットも多く寄せられました。例えば、自分の時間が増えたことの裏返しで、スケジュール管理が難しいという声がありました。オンライン授業や、自宅での課題学習になったことで、これまでより課題の量が増えてしまったことも、スケジュール管理が大変になった原因のようです。
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ついダラダラ……
オンライン学習では、ついついダラダラしてしまいます。学校ではちゃんとした1日のスケジュールがあったので、時間を効率よく使えていました。しかし、オンライン学習になってから、もう夜なのに宿題以外何もできていない日もありました。(ウズベキスタン・2年)
宿題が多い
宿題の量が普段よりも多いです。いつもは提出する必要のない宿題も、全て提出しなければなりませんでした。(ドイツ・3年)
また、自宅で学習するとなると、集中力を維持するのも簡単ではありません。オンライン授業中についつい他のことをしてしまうこともあるようです。
家だと気が散る
家だと教室よりも気が散りやすく、授業に集中するのにエネルギーがいりました。先生方も画面越しに私たちをコントロールするのが難しく、授業中に他のことをしているクラスメートもいました。(マレーシア・3年)
集中しづらい
オンライン授業は、学校で受ける授業と比べてできないことがたくさんあるし、環境面でも集中しづらかったです。(韓国・3年)
先生や友達とのコミュニケーションが取れない
先生や友達とのコミュニケーションも取りづらくなっています。教室での通常授業では、わからない問題があれば、その場で直接先生に質問することができます。しかし自宅での学習では、すぐに質問ができません。また、友達と一緒に課題を解きたくてもできないという、もどかしさもあるようです。
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先生にすぐ質問できない
困った点は、普段の教室での授業と異なり、先生にすぐ質問ができないことです。課題を行うにあたり、パソコンなどを使って自分で情報を調べる必要がありますが、それだけでは課題を完全にこなすのは難しかったです。(ドイツ・2年)
友達と一緒に考えられない
オンライン授業では、周りとコミュニケーションを取る機会がありませんでした。先生に質問することや、友達と一緒に考えることができません。両親に聞いてもわからないことがあり、全て自分でやらなければいけませんでした。教室での授業に比べてストレスが多かったです。(ドイツ・3年)
学びやすいのは対面?
オンライン授業は教室での授業に比べ、デメリットを上げる人が多く、教室での授業のほうが学びやすいという意見が多かったです。先生も友達もいる教室という環境での対面授業は、モチベーションだけでなく、理解度の向上にもつながっていたようです。
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モチベ上がるし理解度上がる
教室で受ける授業の方が学びやすいと思います。互いの顔を見ながら授業を進めるほうが、モチベーションや理解度が高まると実感したからです。教室での授業なら、先生の説明を途切れることなく耳にでき、授業後に、先生や生徒同士で確認し合えるなどのメリットがあります。(アメリカ・3年)
オンライン授業と教室で受ける授業では、教室で受ける授業のほうがいいと思います。普段の授業では退屈しません。一人きりよりも、友達や先生がいるほうがモチベーションが上がります。(ドイツ・2年)
教室はやる気になる雰囲気がある
教室で受ける授業の方が学びやすいです。教室には、勉強をやる気になる雰囲気があり、ちゃんとしたスケジュールもあります。元気に効率よく勉強できます。(ウズベキスタン・2年)
そんな中、新型コロナウイルスの流行という状況の中で学ぶなら、オンライン授業や自宅学習が最も適当な方法だという意見もありました。
現状はオンラインが最適なのでは
オンライン授業が悪いとは思いません。数学の授業では、教室での授業よりも集中できた気がします。ですが、生物や物理などはオンラインでは学びにくいと感じました。それでも今の状況では、オンライン授業は一番良い学び方だと思います。(マレーシア・3年)
世界のオンライン授業をのぞいたら…
休校中の学びについては、日本でも、オンライン授業やプリント学習など、地域や学校によってさまざまな方法が議論され、行われていました。
海外の高校でも同じように、コロナ禍でも学べるよう、ビデオ会議ツールやテレビ、アプリなどを利用して、授業や学習が行われていたことがわかりました。
オンライン授業と教室での授業、それぞれのよさと改善点を身をもって体験することができたようです。まだまだ、先行きが不透明なコロナ禍での高校での学び。国を超えて互いの境遇をシェアすることで、見えてくるものがありそうですね。