中国・武漢で表面化した新型コロナウイルス感染症はたちまち地球全体に広がった。感染者は5月下旬までに500万人を超え、世界経済に深刻な被害をもたらし、社会生活は激変した。
日本経済の低迷は長期化
2020年1~3月期の実質国内総生産(GDP、季節調整値)1次速報値は前期比0.6%減、このペースが1年間続くと仮定した年率換算は2.2%減と、4年3カ月ぶりに2四半期連続のマイナス成長となった。緊急事態宣言による外出自粛で、4~6月期は年率で20%超のマイナス成長になるとの予測もあり、日本経済の低迷長期化は避けられない見通しだ。
1~3月期は主要項目すべてがマイナスだった。外出自粛で旅行需要や外食、衣料品などの個人消費が急速に落ち込んだ。企業も軒並み減収減益となり、需要減少や先行き不安で投資を手控える動きが目立った。
ビジネスモデルの転換も
アジア開発銀行(ADB)は、新型コロナの感染拡大で世界経済に最大8.8兆㌦(約940兆円)の損失が生じると試算。国際通貨基金(IMF)は2020年の実質経済成長率はマイナス3.0%と「1929年に始まった大恐慌以来の景気後退」になると予測している。
一方、新型コロナ危機で在宅勤務や仕事の見直しが進みつつある。大都市に人口が集中するリスクがはっきりし、活動が地方に広がる可能性が出てきた。今回のように感染症が広範囲に拡大することを想定し、IT化や効率化など新たなビジネスモデルを構築する必要があるだろう。
高校総体、甲子園も中止
感染拡大は学校の部活動も直撃、高校スポーツに大きな打撃を与えている。半世紀以上の歴史を誇る高校スポーツの祭典、全国高校総合体育大会が史上初めて中止になり、春の選抜に続き夏の全国高校野球選手権大会(甲子園球場)と出場権を懸けた地方大会の中止も決まった。
これを受け、各地の高野連は代替大会の開催を決めた。いずれも無観客試合が原則とするなど感染防止ガイドラインを策定し、各校に周知する方針という。
甲子園大会は全国中等学校優勝野球大会として1915年に始まり、今年が第102回で8月10日に開幕予定だった。米騒動の起きた18年(第4回大会)、戦局が悪化した41年(第27回大会)が中止になっており、今回が3回目で戦後としては初めてとなる。
日本高野連は今春の選抜大会に選ばれていた32校を8月に兵庫県西宮市の甲子園球場に招待し、各校が1試合ずつ行うことを決めた。無観客が原則だが、学校関係者の入場については感染状況の推移を見ながら検討するとしている。
静岡県と山梨県は今夏、富士山の登山道を閉鎖すると発表、ルート上野山小屋休業も決まっており、富士山の夏山閉山が決まった。(共同通信編集委員・遠藤一弥)