新型コロナウイルス特措法に基づく緊急事態宣言は解除されたが、ウイルスが消えたわけではない。専門家は「いったん収束しても、海外からの旅行客の流入や、寒い季節に第2波、第3波の流行があり得る」と指摘する。特効薬やワクチンが完成するまでの間、ウイルスとの共存は避けられない。これまでの生活を見直し、影響を最小限に抑える社会をつくっていく必要がある。

感染しない、させない意識改革を

7週間に及んだ緊急事態下で、多くの人が「自粛」に倦んでいる。だが、かつての生活に戻るのは慎重でなければならない。感染しない、感染させないという一人一人の意識改革が必要だろう。

新型コロナ対策が長丁場になることを踏まえ、政府の新型コロナウイルス感染症対策専門会議(座長・脇田隆字国立感染症研究所長)は感染再燃に備えた「新しい生活様式」を提言した。「感染対策」「基本的生活様式」「場面別の生活様式」「働き方」の四つで構成、具体例が細かく盛り込まれた。

「新しい生活様式」の実践例(厚生労働省のウェブサイトから)

マスク・30秒手洗い・帰宅したらシャワー…

外出や会話の際はマスクを着用、他人とは2メートル離れ、真正面での会話はしない。帰宅したら30秒かけて手を洗い、シャワーを浴びて着替える。発症した時に備え、誰とどこで会ったかをメモする。

密集、密接、密閉の「3密」を避け、換気はこまめにし、検温を毎朝行う。

買い物はすいた時間に1人か少人数で素早く済ませ、店の展示品には触れず、支払いは電子マネーで。食事中の会話は控え、対面ではなく横並びに座って食べる。

こまめに消毒、便器はふたを閉めて流して…

ジョギングは少人数で、すれ違う時は距離を取る。公園利用はすいた時間、場所を選んで。

テレワークやオンライン会議で職場の人を減らし、名刺交換もオンラインで。電車やバスのラッシュアワーを避け、徒歩や自転車も併用する―などとした。

専門家会議はこのほか、職業別のガイドライン作成も要請。共通の注意点として「テーブルやドアノブをこまめに消毒」「施設内は換気し、軽度でも発熱やせきがある人は入場しないよう呼び掛ける」などを挙げた。

また、感染リスクが高いトイレなどについては「便器のふたを閉めてから流す」「ハンドドライヤーは使わない」「鼻水、唾液が付いたごみはポリ袋に密閉して捨てる」としている。

(共同通信編集委員・遠藤一弥)