政府は5月25日、新型コロナウイルス特別措置法に基づき5都道県で継続していた緊急事態宣言を解除、宣言は約7週間ぶりに全国で解除された。新規感染者が抑えられていることなどから、宣言期限の31日を前に判断した。

休業要請は3段階で緩和

外出自粛やイベント開催制限、休業要請などについては「おおむね3週間ごとに地域の感染状況を評価し、段階的に緩和する」としており、経済の回復や学校再開に期待が高まる一方、解除による「感染第2波」を懸念する声もある。

都道府県をまたぐ移動は5月末まで自粛を呼び掛ける。

休業要請の緩和措置は各自治体により異なるが、「第1段階」で博物館、美術館や学校を解除、対象には観客席を除く運動施設も含まれており無観客での試合が可能になる。劇場や映画館、学習塾などは「第2段階」、集団感染の発生例があるカラオケやライブハウス、スポーツジムなどは「第3段階」―になるところが多くなりそうだ。

緊急事態宣言解除後は7月31日までが移行期間とされ、3段階で社会経済活動の自粛が徐々に緩和されていく(政府の基本的対処方針をもとに高校生新聞編集部が作成)

「新規感染者が十分に減少」解除に踏み切る

宣言解除の目安の一つは「直近1週間の新規感染者数の累計が人口10万人あたり0.5人程度以下」で、人口約1400万人の東京都では1日当たりの感染者数が10人未満となることに相当する。

25日に宣言が解除された5都道県は24日までの1週間の集計で、東京(0.36人)、埼玉(0.15人)、千葉(0.1人)はいずれも目安を下回ったが、北海道が0.72人、神奈川0.7人と目安を上回った。しかし政府は「新規感染者が十分減少しており、患者の急激な増加に対応できる医療提供体制が整っている」と判断、宣言の解除に踏み切った。

4月7日に初めて発令された宣言は同16日に全都道府県に拡大、5月4日に31日まで延長された。その後14日に39県、21日に近畿3府県で解除され、北海道、東京、神奈川、千葉、埼玉の5都道県で続いていた。

経済活動再開で感染再燃の恐れも

一方、中南米や南アジア、アフリカでは感染拡大局面にあり、日本でも経済活動の再開に伴って感染拡大の再燃を警戒する声は多い。米ミネソタ大の研究チームは「(流行は)今後1年半から2年、世界の人口の60~70%が感染して免疫を獲得するまで続く可能性が大きい」とする報告書を発表した。

同報告書は、新型コロナは潜伏期間が長くインフルエンザに比べて制御が難しいと指摘。今後も再発を繰り返す可能性があり、今秋に感染の第2波が起きることを想定した体制を整えるべきだと警告している。