あなたにはライバルがいますか? 高校生記者だったきぐまさんは、科学研究に力を注いでいました。ライバルは、大会で賞を取っている友達。先行くライバルの姿に悔しさを覚えながらも、キラキラした自分になりたいと奮闘した日々を振り返ってもらいました。

友達がつかんだ全国大会への切符「本当に悔しい…」

私の高校はスーパーサイエンスハイスクール(SSH、文科省が科学や理科・数学を重点的に行うと指定した高校)です。生徒たちはテーマを決めて研究活動をしています。

友達の研究は、さまざまな大会で賞をもらっており、「彼女のように面白い研究をするにはどうしたらいいのか」といつも思っていました。それで気づいたのが、彼女は毎日のように生物室に来て、休み時間はおろか土日まで返上して研究を行っているということでした。

科学研究に没頭した高校生活(写真はイメージ)

早速、彼女を見習い、学校から指定された日しかやっていなかった研究を毎日やり始めました。そうすれば、きっと彼女の研究に追いつけると考えたからです。

SSHの全国大会に出るために、校内の選考で選ばれた私と友達を含む3チームの中から、さらに1チームに絞るための選抜が行われることになりました。結果、友達のチームが選ばれ、彼女が全国大会で発表することになりました。

研究に勝ち負けはない、何を学んだか、何を考えたかが大切だなんてことは、頭ではわかっているつもりでした。ですが、一度でいいから全国という舞台で発表をしてみたいと考えていた私は、本当に悔しかったです。

「私もキラキラしたい」誰かの真似じゃなく

そんな気持ちを抱きながらも、大きな舞台で研究発表する友達を一目見ようと、会場まで行きました。会場では多くの高校生が学校の代表として研究発表を行っていました。

当時の私は、研究が行き詰まり、進路は定まらず、「何をやってもうまくいかない!」と嘆いていました。会場にいる彼らは、研究の内容もさることながら、とても誇らしげに、堂々と発表を行っていました。そんなキラキラした彼らの後ろ姿に、私は黙って拍手を送ることしかできませんでした。

たくさんの本を読んだ

それから、「キラキラしていた彼らみたいになりたい!」と考えるようになりました。今度は真似ではなくて、自分のやり方で彼らを超えていこう。そう思ったんです。

たくさんの本を読み、興味のあることも、ないことも考えました。研究では、少しでも疑問に感じたことは何でも調べ、論理に隙ができたら、いくらでも時間をかけて埋めてゆくようにしました。高校3年生で受験生ではありましたが、受験に関係なくても面白そうなセミナーや講演会があると飛んで行っていろんな人に会ったり、お話を聞いたりしました。

相変わらず進路は決まらず、ぶれぶれでした。受験を控えた高3生とはほど遠いことをしている私を心配してくれる人もいましたが、私は頑固にも自分のやり方を通しました。

自分のやり方で人生の進むべき道を見つけた

するとそのうち、私の研究の1つがある論文コンテストで入賞したという知らせがありました。

それをきっかけに、今までどうにもならなかったことの芽が一斉に出始めました。もう1つの研究も別の論文コンテストで入選しました。これまでに大量に読んだ本や会った方々の話などがきっかけとなり、進路が決まり、推薦入試で大学合格を勝ち取りました。将来やりたいことも増えました。

ほんの少しの出来事が私の人生を左右することもあるんだなと思うと同時に、ここまでのきっかけを与えてくれた友達に感謝しています。今、彼女は、私の一番のライバルです。(高校生記者・きぐま)