新入生に読んでほしい、高校生記者が選んだ高校生活を舞台にした小説を高校生記者が紹介します。読めば、「こんな青春を送りたい」と、毎日の励みになるかもしれません。(価格は税抜)
新しい環境で頑張る人へ
島はぼくらと 辻村深月著(講談社文庫、700円)
高校生活が始まる新入生、進学や就職など将来を考えていかなければならない上級生、新しい環境や人との出会いに不安と期待で入り交じっていると思います。同時に、今まで一緒に過ごしてきた友人との別れも経験していることでしょう。この本は、さまざまな出会いと別れを経験することで、成長していく高校生たちの物語です。
「別れる時は絶対に笑顔でいろ。後悔することがあるかもしれんから」。作中にこんな言葉が出てきます。春から、新しい環境で頑張る高校生にぜひ、読んでほしい一冊です。(haru)
夢・情熱・挫折に共感できる描く
一瞬の風になれ 佐藤多佳子著(講談社文庫、600円)
高校生活。それは、人生でたった3年しかない。しかし、人生で最も色濃く記憶に残る時間です。
この本は、部活が舞台の青春小説。主人公の新二が、陸上を通して葛藤や苦しみを乗り越えながら青春を走り抜けていきます。追いかけた夢、好きなことにかける情熱、初めて経験した挫折。高校生が自分と重ね合わせ、共感できる小説です。
おすすめのポイントは、読んだ時の「爽快感」です。主人公や仲間が実際に大会やインターハイに出場するシーンがあります。「イチニツイテ、ヨーイ、ドン」という合図で走りだしてから、ゴールテープを切るまでが、まるで実際に走ったかのようにあっという間で、とてつもない爽快感を持って描かれています。
ドラマ化、マンガ化もされている一世を風靡(ふうび)した傑作を、皆さんもぜひ読んでみてください。(もつ)
高校生活を楽しく生きる
弱キャラ友崎くん 屋久ユウキ著(小学館、630円)
主人公は、初めは「人生はクソゲー」と考えています。ですが、とある人との出会いによって、「人生を真面目に攻略しよう」と決意します。
スクールカーストを細かく分析しながらも、「楽しく生きる」ことが前面に押し出されていくストーリーは、同じ高校生として応援したくなると共に、こちらも鼓舞されること間違いなしです。
今、高校生活が楽しくない人も、楽しい人も、より楽しい高校生活を歩むために、ぜひ読んでみてください。(鈴木とこー)
番外編:サイコでスリルある高校生活を描く
ライアーズ サラ・シェパード著(ACクリエイト、1500円)
アメリカ合衆国ペンシルベニア州にある小さな町、ローズウッドで5人組のリーダーのアリソンが行方不明になったことから、残された4人に襲いかかる謎の人物Aからの脅迫状。
秘密を知っているというメッセージから始まり、家族や友人が殺害されるなど、日々彼女たちを苦しめるAのトリックは過去最高にサイコパスです。読めばスリルを感じます。スクールカースト、禁断の恋なども描かれ、平凡ではない高校生活を本の世界で体感したい、海外好きの女子高校生に勧めたい一冊です。(木花咲耶)