男子バスケットボール部のマネジャーとして活動し、週末は各地の試合でホイッスルを吹く、異色の「高校生審判」だ。4月に念願だった日本バスケットボール協会の公認審判員に認定された。全国に3人しかいない現役高校生の公認審判員の一人だ。

小学5年の時に神戸市のミニバスケットボールチームに入り、すぐバスケットに夢中になった。上達するにつれて、試合で審判が下す判定の意味が分からず、ルールの理解不足を痛感するようになった。

中学生になって神戸市のミニバス連盟が開く審判講習会に参加。「審判のジャッジ一つで試合の流れや勝敗まで決まってしまう」と、選手の目線とは違う角度でバスケットに関わることに新鮮な魅力を感じた。

ミニバスの試合を中心に審判を務めるようになり、先輩審判員の指導を受けながら技術を磨いていった。昨年11月にはその実績が認められ、県バスケット協会からの推薦で公認審判試験を受験。ルールテストと実技試験に合格した。

現在バスケ部では、審判員の道に専念するため、選手を断念したが、コーチと選手の「橋渡し」として重要な役割を担っている。顧問の下里修嗣先生は「彼はいわばアシスタントコーチ。審判員としてルールをきちんと理解しているからこそ、プレーヤーに明確なアドバイスが送れる」と、信頼を寄せる。

試合先で他校の選手やコーチが声を掛けてくれたり、時には保護者と談笑したり、「審判を通して人とのつながりが広がった」と実感する。人間性をさらに磨き「審判として勝った方も負けた方も納得できるゲームをつくりたい」。近い将来、全国高校総体で審判を務めるのが目標だ。 (松本妙子)