福岡・九州産業大学付属九州産業高校吹奏楽部は、福岡県内で初めてマーチングを取り入れた伝統校。マーチングの県大会では14年連続で金賞を受賞し、九州大会に19 回出場している。「来年こそ全国大会出場を」と、毎日練習に励んでいる。 (文・写真 吉永恵子)

マーチングの練習中、一糸乱れぬ隊列が流れるように移動していく。平行に並んだ隊列が円を描き、最後は「2013」の人文字を描いて止まった。副部長の西田純菜さん(2年)は「少しでも動きや位置がずれると、すぐにお客さまに分かってしまう。一人一人の責任は大きいですが、ぴたりと完成したときの達成感はひとしおです」と魅力を語る。

 

総勢160人の大所帯。100人以上の大編成でマーチング大会に出場することもあったが、規則が変わり、今年度からマーチングの出場人数が81人までに制限された。出場メンバーはオーディションで選抜したが、部員の半数が出場できず涙をのんだ。

練習は放課後、部室で行っている。狭い部室では、楽器を持って体を揺らすのがやっと。動きの練習は、グラウンドで楽器を持たずに行う。その後、近郊の体育館へ移動して、動きと音を初めて合わせる。

動きをまとめるマーチングディレクターの鎌浦未久さん(2年)は、中学校でマーチングを経験した数少ない部員の一人。「動きをうまく皆に伝えていくのがとても難しいです。実際にやって見せるしかない」と話す。

中学生にも披露

同校は、年間80を超える地域行事でもマーチングを披露している。また、学校近くの中学校を回って「マーチング講習会」も開いている。福岡県でマーチングに取り組んでいる中学校は少なく、講習会での先輩の演技や指導に憧れて同校を目指す生徒も多いそうだ。

■部長の言葉 みんなの声に耳を傾けた 

 

前部長 廣内淳樹君(3年)

大人数なので自分の意思を伝えるのが大変でした。自分の意見も大事ですが、みんなのことを考えて、意見を聞いて部を運営していくことを学びました。マーチングは卒業しても続けるつもりです。

部活データ:  1976 年創部。部員160 人(3年生58 人、2年生51 人、1年生51 人)。2013 年九州マーチングコンテスト金賞。金管105 人、木管20 人、弦5 人、打楽器30 人。