教員と並んで最近人気のある職業が福祉分野。「高齢社会」の波がとまらない日本は、2年後の2015年には、最も人口が多いと言われる団塊世代(1947~1949年生まれ)が65歳以上の高齢者となる。
また、国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、2025年には全人口の3人に1人が65歳以上になると言われている。こうした実態からもわかるように、福祉の仕事の需要はますます増加すると言えるだろう。有望なビジネス分野として民間企業も多数参入し、求人数も急増したことから、福祉分野の職業の認知度もさらに高まり、社会福祉学部、福祉総合学部といった福祉に関連した学部・学科に進もうとする学生が増えた。
福祉というと高齢者介護を思い浮かべがちだが、それだけではなく、障害者の自立や社会参加の推進、保育・子育て支援も含まれ、福祉の対象領域は広がる一方だ。しかし、決して楽な仕事とは言えない。そのため、どの施設も人出不足で、有用な人材を求め続けているのが現状である。数ある福祉系の資格の中でも人気の高い資格、「社会福祉士」「介護福祉士」「精神保健福祉士」は「三福祉士」と呼ばれている。ここでは、これらの資格と進学についてみてみよう。
社会福祉士 福祉関連資格としては“最上位”とされる国家資格の1つ。高齢者・障害者・児童・地域社会など幅広い分野で、専門家の立場から助言・指導できる資格で、必要があれば医師へのサポートをするなど重要な仕事を担う。福祉系の大学で指定科目を履修した場合、「社会福祉主事任用資格」が取得でき、国家試験の受験資格が得られるが、それ以外の大学・短大の場合は実務経験が必要になるなど一定の受験資格を満たす必要があるため注意が必要だ。
介護福祉士 福祉の相談・援助に関わる国家資格で、高齢者の生活について相談に乗るのが主な仕事。特別養護老人ホームやデイケアセンター、障害者福祉サービス事業所など活動の場は多岐に渡る。福祉関連の所定の単位数を修めて介護福祉士国家試験に合格し、登録されればすぐにでも仕事に就くことは可能だが、高齢者と交流ができる豊富な話題・知識・教養が求められるなど高いコミュニケーション能力が必要となる。また、一般的にこの仕事は重労働の仕事が多いことでも知られている。そういった労働条件に耐えるだけの覚悟と強い気持ちが重要になる。
精神保健福祉士 精神保健福祉領域のソーシャルワーカーの国家資格。精神医学ソーシャルワーカーとして精神保健福祉センターや保健所などで精神障害者の相談に応じ援助などを行うのが主な仕事である。また近年では、企業におけるメンタルヘルスも取り扱うなど活躍の場は広がっている。保健福祉系の大学で指定科目を履修し、年に1度行われる精神保健福祉士国家試験を受験し合格することで、(財)社会福祉振興・試験センターに登録され関連する必要な施設で働くことができる。