刺さった剣を抜いたものが勇者になれる……そんな伝説を聞いたことはありませんか? 土佐高校(高知)美術部の7人は、勇者の気分を味わえる「体験型アート」を作りました。美術部の全国大会の一つ「第43回全国高校総合文化祭2019さが総文美術・工芸部門」に出展したこの作品「えらばれるということ」の魅力を紹介してもらいました。

勇者の気持ちになれる

―何がきっかけで作ろうと思ったんですか?

もうちょっと、みんなに美術を好きになってもらおうという気持ちから、アイデアが浮かびました。

ボタンを押す勇気で…君も勇者になれる!

ただ見るだけの絵とか彫刻とか、そういうのではなくて、「美術と交流できるもの」は何かと考えた結果です。美術が好きなので、みんながアートに近づくための美術として作りました。

―なるほど。モンスターが剣を守っているようですが、どういう仕掛けなのでしょうか…?

とりあえず、仲良くなるにはスキンシップが必要ですよね。

「美術とスキンシップ」をポイントにしています。白いボタンを押したら、「3、2、1エクスカリバー」という音声が流れます。見ている人は、剣を抜いて、勇者の気持ちを味わうことができるんですよ!

―なんだかわくわくしちゃいますね!

 

学校の先生の声を録音

―一番作るのが大変だったところはどこですか?

これは一人でなく、7人で作った団体作品です。それぞれ担当のパーツがあるので、分担して一つに作り上げるのが一番大変でした。

それぞれが、できるところをできるだけやるっていうスタンスで作りました。

剣は、特に模したものはなくって、「概念としてのエクスカリバー」を表現しています。剣の細工も細かく作っています。

剣の細工を細かく作ってある

―どこが一番かっこよく作れましたか?

どこが一番かっこいい……? 全部かっこいいです(笑)

―ボタンを押すと音声が流れる仕組みはどうしたんですか?

これも自作ですよ。スイッチを押したら電源が入り、プログラムが反応するようになっています。

―「3、2、1…エクスカリバー」の発音、すっごく良いですね…!誰の声なんですか?

これは学校の先生の声なんですよ。放送室でレコーディングしたんです。

―英語の先生ですか?

いや、英語の先生だけではなくて、いろんな先生に来てもらって、録音して、それを加工して作りました。ボタンを押すごとに、違う先生の声が流れます。

―まさか先生の声だったとは…! みなさんノリノリで、すてきな先生たちですね。

遊び方の説明書

金属に見える色塗りにこだわり

―一番うまくできたところは?

金属っぽく見せたところですかね。

―この剣がささっているところ、金属じゃないんですね。

そうです。プラスチックを金属に見せるような色塗りをしました。

ちょっと古く見えるように、赤、黄色、青、紫などをいい感じに配色したうえで、黒を混ぜた銀色でガーっと塗って、質感を出しています。

―元はすごいカラフルだったとは、びっくりです!

作品の全体像