「こんなことが許されるのか」「学校現場は大変混乱」戸惑いの声

高校生新聞の全国高校へのアンケート調査では、自由記述で高大接続改革などについての意見を求めると、

「現2年生が受験する大学入試すら、まだ不確定な部分も多く、生徒にも保護者にも説明できない。こんなことが許されるのか?」(北海道・公立)

「4技能の評価は大切であるが、民間の資格・検定試験の利用は地域的・経済的な格差が大きくなるだけでなく、学校現場は大変混乱する」(中四国・公立)

「英語4技能テストの受験が非常に困難である。離島であるため会場まで出向くのに、多額の費用がかかる」(九州・公立高校)

「英語の4技能を入試で判定材料とするならば、大学入試センターにしても各大学にしても責任を持って判定方法を考えるべきであり、民間の検定試験に丸投げするのは無責任である」(首都圏・私立高校)

など、制度への戸惑いや不安を訴える声が多く寄せられた。

英語4技能の指導の「後押しになりそう」も65%

一方、これまで自校で「英語4技能の指導に力を入れてきた」と考えている高校は、「とても力を入れてきた」(13%)、「どちらかといえば力を入れてきた」(48%)をあわせて61%。「どちらかといえば力を入れられなかった」(35%)、「全く力を入れられなかった」(3%)をあわせると38%だった。公私立別では、公立校の62%、私立校の60%が「力を入れてきた」と考えている

また、「民間試験での入試での活用が『英語4技能』の指導の後押しになりそうだ」と考える高校も「そう思う」(16%)、「どちらかといえばそう思う」(49%)をあわせて65%あった。「そう思わない」(9%)、「どちらかといえばそう思わない」(23%)をあわせて33%だった(四捨五入の関係で単純な合計とならない)。

6割超の高校が「英語4技能」の指導に既に力を入れつつあり、入試で民間試験を利用すること自体は否定しない高校も少なくないが、国が進めようとしていた制度には公平性・公正性や生徒への負担など、不安が大きいことが調査結果からうかがえる。

7種類の民間試験が対象だった

大学入試センターが高校に配っている「大学入試英語成績提供システム」の案内の見本

国側が21年度入試での利用を認めた民間試験は「ケンブリッジ英語検定」「英検」「GTEC」「IELTS」「TEAP」「TEAP CBT」「TOEFL iBT」の7種類。現高校2年生が来年4月~12月の間に民間試験を受けるためには、在籍高校を通じて大学入試センターに申し込み、IDの発行を受ける必要があるとされ、IDの申し込みは11月1日から始まる予定だった。

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高校生新聞のアンケート結果の詳細を順次、記事でお伝えしていきます。