国が進める2020年度からの大学入試改革のうち、大学入学共通テストとあわせて実施する予定だった英語民間試験が一転して延期される方向となった。高校生新聞が全国の高校に実施したアンケート調査では、英語民間試験の利用を84%が「自校生徒にとって重い負担」と考えているなど、高校側の不安が高まっていた。(西健太郎)
全国1120校が回答
アンケート調査は今年8月から9月にかけて実施。全国の高校・中等教育学校4906校に調査票を送り、1120校(公立782校=国立を含む、私立338校)の校長、教頭、進路指導担当などから回答を得た。回答率は23%。
現高校2年生から対象の予定だった
改革では、21年1月から大学入試センター試験の後継として「大学入学共通テスト」を始めるのに加え、国側が認定した民間の英語資格・検定試験を原則として3年生の4~12月に2度まで受けてもらい、成績を大学入試センターがとりまとめて大学に提供する仕組み(大学入試英語成績提供システム)を始める予定だった。いわゆる「英語4技能」(読む・聞く・話す・書く)を直接測る民間試験の入試での利用を増やすことで、高校での指導の後押しとする狙いがあった。
「生徒に重い負担」公立校の88%、私立校の79%
高校生新聞のアンケートでは、大学入試英語成績提供システムをどう受け止めているかを質問。「民間試験の受検は、自校生徒にとって重い負担だ」と考えている高校は、「そう思う」(49%)と「どちらかといえばそう思う」(35%)をあわせて84%に上った。「そう思わない」は4%、「どちらかといえばそう思わない」は11%だった。高校の公私立別では、公立校の88%、私立校の79%が「生徒に重い負担」と答えた。
「民間試験の受検料をより安価にしてほしい」と希望する高校は、「そう思う」(89%)、「どちらかといえばそう思う」(9%)をあわせて98%を占めた。
「公平・公正に実施されるか不安」86%
「民間試験が公平・公正に実施されるか不安がある」と回答した高校は、「そう思う」(63%)、「どちらかといえばそう思う」(23%)をあわせて86%に達した。「そう思わない」は3%、「どちらかといえばそう思わない」は9%にとどまった。公私立別では、公立校の89%、私立校の84%が「不安がある」という回答だ。