文部科学省は10月25日、2021年度入試から新たに始める「大学入試英語成績提供システム」を利用して英語民間試験の結果を活用した入試を行う大学をとりまとめて発表した。四年制大学と短期大学をあわせて629校(58.9%)が何らかの形で利用するという。

四年制の国立大は95%、私立大は65%

このシステムは、国側が認めた英語の民間資格・検定試験を原則高校3年生の4~12月に2回まで受けてもらい、結果を大学入試センターがとりまとめて大学に提供するしくみ。現在の高校2年生が受ける大学入試から始まるが、一部の大学が利用の可否や利用方法の詳細を明らかにしていなかった。

文部科学省の発表によると、2021年度入試でこのシステムを利用した入試を行う四年制大学は、全体の70.8%にあたる538校。国立大は78校(95.1%)、公立大は78校(85.7%)、私立大は382校(65.1%)が利用する。

短期大学でこのシステムを利用した入試を行うのは91校。全体の29.5%にあたる。

出願資格、配点など利用法分かれる

利用する予定の大学でも、利用方法はさまざまだ。国立大でも、一定の成績を出願資格にする大学や、民間試験の成績を点数換算して選抜に利用する大学、民間試験を受けなくても、高校の先生が英語力を証明すれば出願を認める大学などに分かれる。

私立大でも、一部の学部や入試方式の利用にとどまる大学もある。一方でこのシステムを利用せずに、独自に民間試験の結果を選抜に利用する大学もある。

7種類の試験が対象、高校側から不安の声も

2021年度入試で対象となる民間試験は「ケンブリッジ英語検定」「英検」「GTEC」「IELTS」「TEAP」「TEAP CBT」「TOEFL iBT」の7種類。文部科学省は「読む・聞く・書く・話す」の英語4技能の学習を高校生が取り組む後押しにしたい考えだ。だが、受験生によって異なる民間試験を受けて公平に選抜ができるのかや、民間試験を受けるための費用の負担、試験の詳細が明らかになるのが遅いといった問題点の指摘や不安の声が高校側から出ている。

利用大学の一覧は、文部科学省の「大学入試英語ポータルサイト」に掲載されている。