「名・姓」から「姓・名」表記へ――。政府は国の文書で日本人の氏名をローマ字で表記する場合、これまで国内外で一般的な「名・姓」の順番ではなく、原則として日本語表記と同様に「姓・名」の順にすることを決め、具体的な取り組みを関係省庁で検討する。
「姓・名」表記を提案した柴山昌彦文部科学相(当時)は「グローバル社会が進み、文化言語の多様性を意識することが重要。日本人の氏名表記は日本の伝統に則した形がいい」と指摘した。
教科書は既に変更
文科省の諮問機関である国語審議会は2000年に「言語や文化の多様性を生かすべきだ。ローマ字表記も姓・名の順が望ましい」と答申している。当時、文化庁が政府機関や都道府県、大学、新聞放送出版業界に対応を求め、中学校の英語の教科書は姓・名になったが、企業の名刺やクレジットカードの印字などは名・姓が一般的で対応はばらばら、実際にはほとんど浸透していなかった。
今後、文化庁は改めて通達を出す方針だが、民間には強制力はないという。