大学生向けの就職情報サイト最大手「リクナビ」が学生の同意を得ずに内定辞退を予測したデータを企業に販売していた。

リクナビは就活する学生ごとに企業や業界サイトの閲覧履歴、志望動向など大量のデータを人工知能(AI)で分析し、個々の学生が内定を辞退する確率を推計したデータを販売。トヨタやホンダなどの大手企業がデータを購入していたが、いずれも合否判定には使用していないとしている。

「学生に不利」国が指導

厚生労働省は「学生の就職活動に不利になる恐れが高い」などとして、サイトを運営するリクルートキャリア(東京)に職業安定法に基づき是正を求める行政指導を行った。

個人情報保護法は、個人情報を第三者に提供する場合、本人の事前同意を必要としているが、リクナビは7983人の学生から適切な同意を得ていなかった。また、その他の学生についても説明が不十分だったとされる。リクルートキャリアは「学生の心情に対する認識が欠けていた」と謝罪したが、経営責任や学生への補償は明言しなかった。

不信感広がる「紹介やめる」

リクナビの掲載企業は3万社以上、登録学生数は約80万人に上る最大手。一部の大学では「今後の就活イベントに呼ばない」「リクナビの紹介をやめる」など、業界最大手が学生の不利になる情報を売り物にしていた不信感が広がっている。