世界最大の熱帯雨林があるアマゾン地域で火災が続いている。約60%を占めるブラジルのアマゾン地域では8月だけで3万件以上の森林火災が発生、2011年以降で同月としては最多、前年同月比で約196%増だった。今後も増加が見込まれ、地球温暖化への影響も懸念されている。
伐採や焼き畑が原因か
地球温暖化対策や熱帯雨林保護には消
極的なことで知られるボルソナロ大統領
は、森林消失に関するデータを公表した
国立宇宙研究所の所長を事実上解任。森
林火災の原因を「非政府組織(NGO)
が火を付けている」と根拠もなく非難し
た。
実際には森林火災は違法な伐採業者ら
によって切り倒されて乾燥した木に、焼
き畑などによる火が燃え移って一気に広
がることが多いという。また、アマゾン
では食肉牛を増やすための牧場開拓が森林破壊の大きな原因とも指摘される。
対応怠る大統領に批判
国際社会では火災への対応を怠るボルソナロ氏への批判が広がる。欧州連合(EU)議長国フィンランドはブラジルからの牛肉の輸入禁止を早急に検討するよう促す声明を発表。フランスやアイルランド政府はブラジルが参加する関税同盟とEUの自由貿易協定(FTA)に反対すると表明した。ドイツ、ノルウェーはアマゾン保護基金への拠出を凍結した。
アマゾンの森林火災はフランスで開かれた先進7カ国首脳会議(G7サミット)、横浜で開かれたアフリカ開発会議(TICAD)でも議題に取り上げられた。ボルソナロ氏は国際的な批判の中でようやく重い腰を上げ、許可なく野焼きをすることを60日間禁止する大統領令を公表した。
日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)の地球観測衛星「しきさい」が捉えた火災の映像では、いくつも立ち上る煙や、多数の消失地点が確認された。