大雨や強風による災害が想定される大型台風が日本列島に接近するケースが続いていることに伴い、事前に運転取りやめを決める「計画運休」が広がっている。2019年9月の台風15号に続き、10月の台風19号でも鉄道各社などが踏み切った。

通勤通学客に影響

 

5年ほど前から実施されるようになったもので、運転中の列車が災害に巻き込まれたり、動けなくなった車内に利用者が閉じ込められたりするトラブルを避けるのが目的だが、スムーズな運転再開や利用者への案内を巡る課題も多い。

9月に千葉県に上陸した台風15号でも首都圏で始発からの計画運休が行われたが、安全確認の遅れなどで駅は足止めされた通勤通学客らで大混乱、270万人以上に影響が出た。

事前に乗客向けに案内するタイミングにも課題は残る。国土交通省は4 8時間前に「運休の可能性」、24時間前に詳しい運転計画を明らかにすることを鉄道各社に求めている。しかし、台風の進路など気象予報の精度の問題もあり、現状では難しい状況だ。

2019年9月の台風15号による交通網の混乱では、日本語の構内アナウンスが理解できず立ち往生する外国人の姿も。来年の東京五輪・パラリンピックに向け、災害情報を外国人にどう伝えるかの対策も課題だ。

自宅勤務広がるか

働き方改革の一環として、ITの発達を利用して自宅など職場以外で働く「テレワーク」が奨励されている。災害時には安全確保のため社員にテレワークを促す企業も出ているが、総務省によると昨年時点でテレワークを導入済みの企業は全体の19.1%にとどまっている。